
Derek and the Dominos / Layla and Other Assorted Love Songs
デレク・アンド・ザ・ドミノス(Derek and the Dominos)の名曲「Layla」を書いたのは
エリック・クラプトン(Eric Clapton)ですが、ピアノコーダ部分は
ジム・ゴードン(Jim Gordon)が別に書いたピアノ楽曲を曲の一部として使用しています。ゴードンはソングライティングにクレジットされていますが、このピアノコーダはゴードンが単独で書いたものではなく、私との共作だと
リタ・クーリッジ(Rita Coolidge)は以前から主張しています。クーリッジはProfessor or Rockのインタビューの中で、クレジットを求めたが拒否された当時のことを回想しています。
このインタビューは1年前のものですが、最近になってショート・ヴァージョンがTikTokに公開されたことで、「Layla」を巡るクレジット問題に再び光が当てられています。
クーリッジはグラミー賞受賞ヴォーカリストで、デラニー&ボニーとの共演経験があり、ジョー・コッカー、ボブ・ディラン、クラプトンのバックヴォーカルを務めたこともあります。
クーリッジはインタビューの中で、後にデレク・アンド・ザ・ドミノスでドラムを担当することになるジム・ゴードンと共に、このピアノコーダを書き、デモカセットを制作したと説明しています。その数ヶ月後、彼女はスタジオでクラプトンにこの曲を聴かせました。
「ちょっとしたデモを作って、数ヶ月後にスタジオに入った時、私はエリックにこの曲をピアノで弾いて聴かせました。彼は気に入ってくれたので、デモテープはピアノの上に置いたままにしました。
この件は何も起こらなかったと思っていました。ところが直後に、彼らはデレク・アンド・ザ・ドミノスを結成しました」
その後、初ソロアルバムのプロモーション用写真撮影でスタジオにいたクーリッジは、あのピアノコーダを耳にしました。
「スタジオのPAシステムから流れてくる音楽を聴いて、“ちょっと待って、この曲は聞き覚えがある、知っている”と言ったのよ。スタッフは“知らないはずですよ、これはエリック・クラプトンの新曲ですから”と言うので、私は“これは私の曲よ!”と言いました。おかげで、首の血管が浮き出てる写真を撮られたわよ。本当に動揺した。
スタジオから飛び出してタワーレコードに駆け込み、レコードを手に取ってクレジットが入っているか確認したけど、もちろん入っていなかった」
クーリッジは当時クラプトンのマネージャーだったロバート・スティグウッドを通じてクラプトンと連絡を取ろうとしました。
「やっと電話で彼(スティグウッド)と話せて、“私は作曲者の一人で、あの曲は私の作品です”と言いました。すると彼は“そうか、それでどうするつもりだ?お前は女だろ。訴訟を起こす金もないだろう。諦めろ”と言った。それで終わりだった。
レコード会社に戻って話すと、“うちの会社にはロバート・スティグウッドと戦う資金はない”と言われた。だから私にできるのは、自分の経験を語ることだけなのよ」
クーリッジは以前、自身の回顧録でこのことについて言及し、こう書いています。
「私は激怒しました。彼らが明らかにしたことは、ジムと私が書いた曲を取り上げ、歌詞を捨て、エリックの曲の最後に貼り付けたことです。アレンジもほぼ同じだった」
クーリッジが作曲した曲には元々歌詞があり、その後、彼女の妹プリシラとブッカー・Tによって「Time」としてリリースされました。
ゴードンは「Layla」のソングライティングのクレジットを受けましたが、クーリッジは受けませんでした。彼女は回想録でこう続けています。
「ジムが私たちが一緒に曲を書いたことを忘れるはずがない。正直に言って、エリックも忘れていなかったと思う」
「Layla」とそのピアノコーダの作曲については、クラプトン自身は1985年にGuitar Player誌でこう語っています。
「ジム・ゴードンがそれを書き、誰にも知られずに密かにスタジオに戻って自身のアルバムを録音していたんだ。それはピアノで作曲されたラブソングだった。ある日彼がそれを弾いているのを見つけて“その曲譲ってくれないか?”と言ったら、彼は喜んでそのパートを渡してくれた。それで二つの曲を一つにまとめたんだよ」
■デレク・アンド・ザ・ドミノス「Layla」
■Booker T. & Priscilla「Time」
■リタ・クーリッジ Professor or Rockのインタビュー