トレヴァー・ホーン(Trevor Horn)がパンクを語る。
Fifteen Questionsの最近のインタビューの中で、インタビュアーから「あなたは昔からパンクが嫌いだとずっと言っていて、それは下手に作られたロックのように聴こえるからだと言っていましたね」と言われて、こう話しています。
「まあ、何をポップと呼ぶかにもよるね。僕は“Smells Like Teen Spirit”とか、“Come as you are”とか、ニルヴァーナの曲のいくつかは好きだった。カート・コバーンが自殺したことで、しばらくその音楽を聴けなかったけど。あと、ザ・クラッシュの“London Calling”や“Rock the Casbah”も好きだよ。
でも、大抵のパンクバンドはひどかった。本当に酷かった。
(インタビュアー:セックス・ピストルズもですか?)
彼らを信じていない。マルコム・マクラーレンと仕事をしたことがあるけれど、彼らの楽曲にはセッションミュージシャンを使っていたと思う。“Pretty Vacant”のギターサウンはあまりにも洗練されている。本当に良い音だ。マルコムはギターを弾いたのはクリス・スペディングだと言っていた。
実際、60年代のオリジナルのベーシストは…
(インタビュアー:グレン・マトロック)
そう、彼は上手かった。シド・ヴィシャスは命がけでもベースを弾けなかったと思う。
でも、パンクには本当に素晴らしい点があった。それはハードルを下げたこと。70年代に楽曲を作るとなると、エルトン・ジョンやクイーンと競わなければならなかった。あのクイーンの楽曲は未だに超えられていない。ビッグバンド音楽やシナトラのような歌手の楽曲が未だに超えられていないのと同じようにね。50年代に作られた楽曲は最高の音を出しているけど、あんな音を作り出せた人はいない。“Killer Queen”にすら近づけた者はいないんだ。
楽曲制作の一環として、あの曲にはあらゆる技法が詰まっている。フェイジング、逆再生エコー、ハーモニー。そういうものと対峙することになるわけだよ。あんなものを作り上げるなんてね! エンジニアは天才的な技術者で、バンドも本当に賢かった。あの楽曲は本当に素晴らしい。
だから気が遠くなったんだよ。あるいは、エルトン・ジョンのアルバムやレッド・ツェッペリンを思い出してみてほしい、彼らは圧倒的だった。そこに突然、パンクが現れてそれらを一気に吹き飛ばしたんだ。突然、“くそっ、何に怯えてたんだ?”と思えるようになったんだ。
(インタビュアー:でも、あなたはそうは考えなかった?)
僕の場合はいつも、クラフトワークとポップミュージックを融合させようとしていた。クラフトワークが大好きだったんだ。エルトン・ジョンやクイーンとは違うもの、あの大きなドラムやたくさんのギターのサウンドとは違うものを作りたいというのが僕の野望だった。
だからドラムマシンも大好きなんだ。素晴らしいフィーリングと、完璧なタイミングで繰り返されるリズム。クラフトワークのアルバム『The Man Machine』は聖書みたいな存在だった。あんな音楽はそれまで聴いたことがなかった。実際、いくつかの素晴らしいシングルも収録されていた。
80年代には、本当にエキサイティングな新しい楽曲が次々とリリースされた短い黄金期があった。何かが変わっていくのを感じることができた。おそらくそれが“Video Killed the Radio”で僕たちが捉えたものだったんだろうね」