彼は“ダブルアルバム(『HIStory: Past, Present and Future, Book I』)を出すんだ。1枚目は新曲で、もう1枚はベストヒット集”と言っていた。(その後)彼は家に来て、CDをプレーヤーに入れて“1曲選んで”と言い、全部聴かせてくれた。“マイク、これは厳しいよ”と言ったら“1曲選ばなきゃダメだ”と。で、“Stranger In Moscow”を選んだ。そしたらマイクが怒り出して“違う、それじゃない! 君が選ぶべき曲はThey Don’t Care About Usだ”って言うんだよ。“マイク、もしそれがやってほしい曲ならやるよ!でも選べって言ったのは君だろ!”って言ったんだ(笑)。
マイクは(スパイク・リーが監督・製作・脚本・主演をした映画)『ドゥ・ザ・ライト・シング』の影響で、俺が絶対にその曲を選ぶと思っていたようだよ。彼は俺が絶対にその曲を選ぶと確信してたのに、俺は選ばなかった。彼は言ったんだ。“いや、Stranger In Moscowは選ばない方がいい。They Don’t Care About Usがいい”って言うから、“わかった、わかった、君の望むように”って答えたんだ。本当の話だよ。
あの頃、ポール・サイモンがアルバム『The Rhythm Of The Saints』を出していて、そのアルバムにはブラジルのドラムグループ、オロドゥンが使われていた。俺は“マイク、ブラジルに行ってオロドゥンと一緒に演奏しよう”って言ったら、彼は“行こう”ってすぐに決まったんだ。“They Don’t Care About Us”には2つのヴァージョンがあって、一つは刑務所で撮影したもので、もう一つはブラジルのバイーアとリオで撮影したよ」