
AI Music - Illustration: VIP+; Adobe Stock
ビートルズ、マイケル・ジャクソン、ビヨンセ、マライア・キャリー、エド・シーラン、ボブ・ディランらの楽曲も。音楽出版社の業界団体である国際音楽出版社連合(ICMP)は、グーグル、マイクロソフト、Meta、OpenAI、Xなど世界の大手テクノロジー企業数社が、数百万人の作詞家、作曲家、アーティストの著作権で保護された音楽を無断で取得し、生成AIシステムのトレーニングに利用していたと報告しています。同団体は過去2年間に収集した膨大な証拠を米ビルボード誌に提供し、同誌が特集しています。
ICMPは、一般に公開されているレジストリ、トレーニングコンテンツのオープンソースリポジトリ、リークされた資料、研究論文、AI専門家による独立調査を基にこの文書を作成しました。ICMPは、この文書はデジタル音楽が「世界規模かつ極めて広範な範囲」で無許可使用された「包括的かつ明白な」証拠と主張し、またトレーニングの範囲がこれまで認識されていたよりも大きいことも明らかにしています。
ICMPが同誌と共有した文書には、ライセンスなしでソングライターの音楽を商業的営利目的で使用していることを示す事例が含まれています。以下はその一例。
●Metaのオープンソース大規模言語モデルLlama 3の出力を分析した結果、The Weeknd、Lorde、Bruno Mars、Childish Gambino、Imagine Dragons、Alicia Keys、Ed Sheeran、Kanye Westなど多くの著作権保護された音楽や歌詞をトレーニングに使用していることを示唆していた。
●音楽出版社グループがAnthropicに対して起こした訴訟の裁判資料より、AnthropicがAIモデルClaudeをトレーニングするための入力、およびClaudeが生成する出力の両方で、音楽出版社の著作権で保護された楽曲の歌詞をコピーして大規模に侵害したという証拠を強調しています。音楽出版社の訴状には、Don McLeanの「American Pie」、Lynyrd Skynyrdの「Sweet Home Alabama」、Beyonceの「Halo」、Mark Ronsonの「Uptown Funk(feat. runo Mars)」などが含まれています。
●中国のAI企業DeepSeekが、ライセンスなしに著作権で保護された歌詞を違法にコピー、複製、配布したことを示す証拠。ICMPが挙げた例には、Jay Zの「Empire State of Mind」やEd Sheeranの「Shape of You」が含まれています。
●OpenAIのチャットボットがICMPからの問い合わせを受けて認めたところによると、OpenAIの音楽制作アプリ「Jukebox」は、ビートルズ、エルトン・ジョン、マドンナ、エルヴィス・プレスリー、ドレイク、カニエ・ウェスト、フランク・シナトラ、ビヨンセ、アリアナ・グランデなど幅広いアーティストの著作権で保護された音楽を学習データとして使用していた。
●マイクロソフトのAIアプリ「CoPilot」とグーグルのAIシステム「Gemini」が、多くのソングライターや楽曲の歌詞を複製・配布することで著作権を侵害したことを示す証拠。ICMPが挙げた例には、Bob Dylanの「Knockin’On Heaven’s Door」、Michael Jacksonの「Billie Jean」、Childish Gambinoの「This Is America」などが含まれています。
●Midjourneyは、生成したAI出力により、Dr.Dre、Michael Jackson、Bob Marleyなど多数のアーティストのアルバムアートを商業利用目的で直接複製・発行したことを強く示唆。
●他の証拠には、Xの人工知能チャットボットGrokによる歌詞のコピーおよび配布が含まれます。ICMPは、ソングライターとアーティストの権利尊重に関して、Xを最も悪質な違反者の一つと見なしています。