ロジャー・マッギン(Roger McGuinn) が映画『イージー・ライダー』(1969年)のために、
ボブ・ディラン(Bob Dylan) が書き留めた言葉を元に完成させた「Ballad of Easy Rider」。マッギンは米Guitar Playerの最近のインタビューの中で、この曲について振り返っています。
映画の共同脚本・共同プロデューサー兼主演のピーター・フォンダは当初、同作の主題歌にボブ・ディランの「It’s Alright Ma (I’m Only Bleeding) 」を考えていましたが、著作権上の問題のため許可が得られず、フォンダはディランに『イージー・ライダー』の主題歌を書いてくれるよう頼みました。それがどうして、マッギンが最終的に楽曲を完成させることになったのか? その経緯についてこう話しています。
「ピーターはニューヨークに飛び、プライベートの試写室でディランにこの映画を見せた。ディランは(映画を気に入らず、曲を書く代わりに)紙ナプキンにメモを書き、“これをマッギンに渡してくれ。彼ならどうすればいいか分かるだろう”と言った。それでピーターはそのナプキンを僕に渡し、僕がその曲を完成させたんだよ。
(インタビュアー:なぜボブはあなたにそんなに信頼を寄せていたと思いますか?)
たぶん、僕が彼の素材をうまくアレンジできるって気づいていたんだと思う。“Mr. Tambourine Man”とかでやったようにね。彼とは友人だった。僕がマリブに住んでいた頃、彼はよく僕の家に来て、ギターを弾いたりビリヤードをしたりしていた。だから、彼はその歌詞を僕に託したんだと思う。
僕はメロディを書いて、それから2番の歌詞も書いた。その時はもちろん、彼も(ソングライティングの)クレジットに名前が入っていた」
自身がその曲の作詞者としてクレジットされていることを知ると、ディランはすぐに自分の名前を削除するよう強く要求しました。マッギンはこう振り返っています。
「数週間後、深夜3時頃に彼から電話がかかってきた。ボブは“このクレジットは何だ?金はいらない。外してくれ”と言っていた。僕は“わかった”と答えた。彼は映画が気に入らなかったため、一切の関わりを持ちたくなかったんだ。
(インタビュアー:ディランがマッギンに渡した歌詞の由来は知っていますか? あの映画を見て書いたんですか?)
彼はあの映画を観たよ。あのプライベート試写室で観たけど、結末が気に入らなかったんだ。ピーターとデニスが最後にあんな風に撃たれるべきじゃないと思ったらしい。それと、たぶん低予算のB級映画になると思ってたんじゃないかな(笑)
(インタビュアー:つまり映画の規模がボブがこの映画から手を引くことになった?)
そう。彼は自分の名前があの作品と関連付けられるのを望まなかった。だから彼はただ“川は流れる…”と書き留めたんだ。映画の終盤を見れば分かるけど、ピーターが撃たれた場所の周辺を流れる川をヘリコプターから撮影しているシーンがある。
彼の歌詞はこうだ。“he river flows, it flows to the sea / Wherever that river goes, that's where I want to be / Flow, river, flow(川は流れ、海へと流れる、その川が流れる先こそ、俺が行きたい場所だ、流れよ川よ流れよ)”。僕が二番の歌詞を考え出した。“彼らが望んだのは自由になることだけ、そして結局そうなった”。
(インタビュアー:デニス・ホッパーは当初、あなたの歌詞の意味に戸惑っていたというのは本当ですか?)
そうだね。コロンビア・スタジオのエレベーターに一緒に乗っていたとき、彼が“彼らが望んだのは自由になることだけ、そして結局そうなった、ってどういう意味だ?”と言ったんだよ。僕は“よく考えてみてよ、デニス”と答えると、彼は“おお、すごいな、これは重いな”と言っていたよ(笑)」
ディランは「Ballad of Easy Rider」を気に入っていたのでしょうか? マッギンはこう振り返っています。
「いや、いや。僕たちはその件について話したことは一度もない。でも、まあ、僕はわかっていたよ…何が起こったのかは明らかだし、彼がクレジットに満足していなかったわけだからね。まあ…ボブは普通に会話できるようなタイプの人じゃないからね(笑)。彼は抽象的な言葉で話す。でもそれは当然だと思う、だって彼は詩人だから。そういう考え方をするんだよ」
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