Steve Vai and Frank Zappa - Image: Gary Gershoff / Getty Images
スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai) によると、
フランク・ザッパ(Frank Zappa) がヴァイの才能についてコメントしたのは一度だけだという。「それを口にするのは気が進まないが」と語るヴァイが、ザッパから称賛を受けたその瞬間を、ビリー・コーガンのポッドキャスト『The Magnificent Others with Billy Corgan』で振り返っています。
ヴァイによると、ザッパは他人の才能や将来のキャリアについてコメントすることは控えていたという。ただ、その原則にも例外があったそうです。
「フランクは自由な考えを持っていたから、そういった話しをすることはなかった。彼が僕の将来についてコメントしたのは一度だけ。それを口にするのは気が進まないが…。
スタジオで、彼と僕の2人だけで演奏していた。“Sleep Dirt”を弾いていた。ギター2本だけで。僕はまだ駆け出しだった。
フランクはミュージシャンの中に特別なもの、ちょっと風変わりで面白い、その人にしかできない何かを探していた。彼はそれを必ず見つけ出す。フランクの素晴らしいところは、君自身よりも君の可能性を直感的に見抜く力があったこと。そして、それを引き出して、自身のパレットの色として活用した。だから彼のアルバムはどれも全然違う音がするんだよ。
僕は、なぜか難解なメロディを演奏するのに必要な奇妙な能力に惹かれていた。
(ザッパとのジャムセッションに話を戻し)立ち止まってしまったんだ。呆然としてしまってね。彼がリズムを弾き始めて、僕がソロを始めたところだった。ほんの数ヶ月前まで、僕はロングアイランドの自分の部屋で彼のアルバムを聴いていたから、“今何が起こっているんだ?”となったんだよ。まるで実存的危機みたいな(強い不安を抱える)感覚だった。“フランクがリズムを弾いている!”ってね。だからちょっと混乱したんだ。
そしたら彼がこっちを見上げて“大丈夫か?”って聞いてきた。僕は“フランク、ここで何をしているのか分からない。どうやってここに来たんだ?”って答えた。すると彼は“(ザッパのキーボード奏者)トミー・マーズは何人いると思う?”と言った。僕は“トミー・マーズは一人だけだよ”と答えると、彼は“(ザッパのドラマー)ヴィニー・カリウタは何人いると思う?”と聞いてきたので、僕は“ヴィニー・カリウタも一人だけだよ”と答えた。すると彼は“じゃあ、スティーヴ・ヴァイは何人いると思う?”と聞いてきたんだ。
その時は理解できなかった。だって、自分が特別な存在だなんて全く思っていなかったからね。考えていたら、彼は“君はまだ知られていない才能を持った天才だと思う
”って言ったんだよ。その時はただ親切で言ってくれてるだけだと思って、彼の言ったことが理解できていなかった。
“まあ、いつか何かすごいことをするかもしれないな”と思った。今もまだそれを探しているんだ。彼は僕の中に何かをする可能性を見たんだと思う。でもね、誰だって好きなものを見つけて、言い訳せずにそれに没頭すれば、天才になれるんだ」
VIDEO