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グレン・ヒューズ、The KLFとのコラボ曲が依存症からの回復に役立ったと回想 「俺に自信を与えてくれた」

2025/08/26 19:22掲載
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Glenn Hughes (Image credit: Leo Baron)
Glenn Hughes (Image credit: Leo Baron)
グレン・ヒューズ(Glenn Hughes)と電子音楽デュオThe KLFが1991年に発表したコラボレーション曲「America: What Time Is Love?」。当時、依存症によって窮地に立っていたヒューズは、このコラボレーションが回復への道を歩み始めるきっかけになったと振り返っています。

1970年代から深刻な薬物依存に陥っていたヒューズは1980年代末、音楽的にも身体的にも苦境にありました。

The KLFはビル・ドラモンドとジミー・コーティによる型破りな電子音楽デュオで、1991年当時、数年前にリリースしたトランス曲「What Time Is Love?」のリメイク版で歌うヴォーカリストを探していました。「America: What Time Is Love?」と題された新ヴァージョンは本格的なテクノ・ロックのアンセムとしてオリジナルを再構築したものでした。

ビル・ドラモンドは、ヒューズの2011年の自伝『Deep Purple And Beyond: Scenes From The Life Of A Rock Star』の中で、「当初はガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズとやる予定だったが、彼はレコーディングに現れなかった。誰がグレンを提案したか覚えてないが、その話を聞いた瞬間、“1971年にトラピーズのフロントマンとして見たあの男か? 素晴らしいアイデアだ!”と言ったんだ」と語っていました。

ヒューズは英Classic Rock誌の新しいインタビューの中で、こう振り返っています。

「KLFの関係者から連絡があった。彼らは俺かロジャー・ダルトリーに“What Time Is Love?”を歌ってほしかったんだ。スタジオにKLFの2人に会いに行ったら、1時間もしないうちに、あの曲で聴けるヴォーカルを録り終えていたんだよ。

スタジオの皆は俺の薬物依存について知らなかったと思う。俺は思ったんだよ。“これは俺のキャリアを変えるものになるかもしれない。奇妙だけど素晴らしいものだ。もしかしたら、これが自分の依存症を見つめ直すチャンスかもしれない”とね」

ヒューズはミュージックビデオにも出演するよう依頼されました。ビデオは、ロンドンのパインウッド・スタジオで撮影され、ヒューズとKLFのメンバーが、雨と荒波に打たれるバイキング風の船に乗っている様子が映っています。

「ビデオに出演してほしいと頼まれたんだ。その日は酒もドラッグもやってなかった。それが幸いだったよ、本当に過酷な仕事だったからね」

「America: What Time Is Love?」は1992年2月に英国でシングルリリースされ、4位を記録しました。これはヒューズがディープ・パープル時代以来、最も成功した作品でした。しかし、それ以上に重要なのは、この曲のレコーディングを通じて、彼に更生すべき時が来たと確信させたことでした。

「自分が問題を抱えていることは明らかだった。周りの人々は俺に心底呆れていたが、同時に祈るような思いで見守ってくれていた。家に帰ったら(アルコール・薬物依存の治療機関)ベティ・フォード・センターに入院すべきか判断しようと思ったんだ」

ヒューズは実際に1992年1月にベティ・フォード・クリニックに入院しました。依存症の回復は一朝一夕にはいかず、ヒューズによると、「4、5回の再発」を経て、1997年にようやくアルコールとドラッグを完全に断つことに成功したという。

「America: What Time Is Love?」の成功が直接ヒューズの更生につながったわけではありませんが、それでも、彼はそれが回復への道を歩み始めるきっかけになったと語っています。

「KLFのメンバーと仕事をしたことは、長い間、表舞台から遠ざかっていた俺が再び注目される絶好の機会だった。それは自信を与えてくれた。彼らにはとても感謝しているよ」