『スター・ウォーズ』『E.T.』『ジョーズ』『インディ・ジョーンズ』など、映画史上最も記憶に残る音楽を数多く手掛けてきた、映画音楽の巨匠
ジョン・ウィリアムズ(John Williams)。映画史上最も偉大な作曲家の一人であるにもかかわらず、「映画音楽はあまり好きではなかった」と明かし、また芸術形式として映画音楽は歴史上の偉大な作品に及ばないと考えていると語っています。
ウィリアムズは、伝記『John Williams: A Composer’s Life』の発売にあわせ、英ガーディアン紙で稀なインタビューに応じています。
ウィリアムズはこう話しています。
「映画音楽はあまり好きではなかった。
映画音楽は、どれほど優れていても――たいていはそうではないが、時折8分間の素晴らしい部分があるかもしれない――私は音楽が物足りないと思う。私たちが貴重で偉大な映画音楽だと思っているものは……ある種のノスタルジックな方法でそれを記憶しているに過ぎない……。
映画音楽が、クラシック音楽の最高峰と同じ地位をコンサートホールで持つべきだという考え方は、誤った認識だと思う。
多くの映画音楽は、つかの間のもの。断片的であり、誰かが再構成するまではコンサート作品として考えることさえできないものです」
伝記『John Williams: A Composer’s Life』(海外で9月発売)の著者ティム・グリーヴィングも同紙のインタビューに応じて、ウィリアムズの映画音楽への否定的な発言に驚かされたと話しています。
「彼の発言は衝撃的で、偽りの謙遜ではありません。彼は純粋に自虐的で、映画音楽全般に対して批判的です」
グリーヴィングによると、ウィリアムズは注目され高く評価された作品を含め、自分の映画音楽の仕事を「ただの仕事」と呼んでいたという。こう続けています。
「でも、彼の言葉を必ずしも額面通りに受け取るべきではないとも思います。彼は明らかに映画音楽の作曲という仕事を、歴史上の誰よりも真剣に取り組んできました」
絶賛されているにもかかわらず、ウィリアムズは自己批判的で、グリービングにこう語ったいう。
「もしし全てをやり直すことができたら、もっと丁寧な仕事をしただろうね。映画音楽とコンサート音楽をもっと自分らしく、あるいは何らかの形で統一されたものにしていただろう。でも、一度もそうはならなかった。映画の仕事はやるべき仕事であり、受け入れるべき機会だったのです」