映画『007』シリーズのピストルロゴ、『ウエスト・サイド物語』や『ハード・デイズ・ナイト(ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!)』のポスター、『ラストタンゴ・イン・パリ』などのタイポグラフィなど、象徴的な作品を手掛けたグラフィックデザイナーのジョー・カロフが死去。103歳でした。
息子のピーターとマイケル・カロフが米ニューヨーク・タイムズ紙に語ったことによると、ジョーはマンハッタンの自宅でホスピスケアを受けていましたが、104歳の誕生日の1日前の8月17日に亡くなりました。
映画ポスターや企業ロゴのデザインで最もよく知られているジョー・カロフ。キャリアを通じて300を超える映画のキャンペーンを手がけたが、彼の最初の映画の仕事は、ユナイテッド・アーティスツから映画『ウエスト・サイド物語』 (1961年)のポスターデザインを依頼されたことだった。

その後、1962年の映画『007』シリーズの立ち上げに際し、カロフは007とピストルを一体化したロゴを考案した。カロフは2021年、このロゴについてこう回想していた。
「彼(ユナイテッド・アーティスツの幹部デヴィッド・チャスマン)は“上に小さな装飾的なものを付けてほしい”と言っていた。ボンドのコードネームが007だと知っていたので、7の茎の部分を書いた時、“これは銃のグリップに見える”と思ったんだよ」
カロフはこの仕事で300ドルを受け取ったという。これは当時の相場だった。ロゴはブランドのシグネチャーとなり、その後のシリーズや数百万点の商品に使用された。しかし、カロフはこのロゴのクレジットも、追加収入も、ロイヤルティも受け取らなかったという。このロゴは彼に「多くの仕事をもたらした。私にとって小さな宣伝ツールのようなものだったよ」と述べていた。
カロフは、ボブ・フォッシーの『キャバレー』(1972年)、リチャード・アッテンボローの『遠すぎた橋』(1977年)、ウディ・アレンの『カメレオンマン』(1983年)、フォルカー・シュレンドルフの『セールスマンの死』(1985年)、 ジーン・サックス監督の『思い出のブライトン・ビーチ』(1986年)、マーティン・スコセッシ監督の『最後の誘惑(1988年)など、300本以上の映画のポスター、タイポグラフィ、アニメーションタイトルシーケンスなどのデザインを手がけた。
