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ピンク・フロイド『Wish You Were Here』のアルバムカヴァーで全身炎に包まれた男 スタントマンのロニー・ロンデル・ジュニア死去

2025/08/17 16:03掲載(Last Update:2025/08/17 16:11)
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Pink Floyd / Wish You Were Here
Pink Floyd / Wish You Were Here
ピンク・フロイド(Pink Floyd)の1975年アルバム『Wish You Were Here(邦題:炎~あなたがここにいてほしい)』のジャケット・カヴァーでは、ビジネススーツを着た男性2人が握手しており、そのうちの1人は全身炎に包まれています。その炎に包まれた男を担当したスタントマンのロニー・ロンデル・ジュニアが死去。88歳でした。

家族の発表によると、ロンデルは8月12日に米ミズーリ州オセージビーチの高齢者施設で亡くなりました。

ロニー・ロンデル・ジュニアは、スタントマン一家出身で、ロンデルは『西部開拓史』『北極の基地/潜航大作戦』『ツイスター』『マトリックス リローデッド』などに出演しています。

ピンク・フロイド『Wish You Were Here』のジャケット・カヴァーは、英国のデザイン集団ヒプノシス(Hipgnosis)によるデザインで、米カリフォルニア州バーバンクにあるワーナー・ブラザース・スタジオ内の通路で撮影されました。

このデザインは、人々が「火傷」を恐れて本心を隠そうとする傾向があるという考えから着想を得たもので、コンセプトは、2人の音楽業界の幹部がいて、そのうちの1人が取引で「火傷」するというものでした。

当時はまだCGがなかった時代です。ロンデルはビジネススーツの下に耐火服を着用し、ガソリンをかけられて火をつけられました。

このプロセスは15回繰り返され、最後の1回でロンデルは口ひげを焦がしました。ヒプノシスのストーム・トーガソン(Storm Thorgerson)は2012年のドキュメンタリー『Pink Floyd: The Story of Wish You Were Her』で「炎が吹き返され、一瞬、本物の口ひげに火がついた」と回想していました。口ひげに火がついたロンデルは、地面を転がり回った後、次のように述べたという。「火には不思議なところがある。顔に迫ればと、誰だって逃げるものさ」

なお、彼の兄弟であるリード・ロンデルもスタントマンでしたが、1985年1月、『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』の撮影中にヘリコプターの事故で亡くなっています。