「パディが持ってきた新しい曲の中には、“Appetite”や“When the Angels”のようなものもあった。彼はそれらをキーボードで書いていた。(シンセサイザーの)JX-3Pでシーケンサーを自分でセットアップしていて、シーケンスを走らせながら作業していた。テーマ的な要素は後から生まれたものだと思う」
『Steve McQueen』からは複数のシングルがリリースされ、中でも1984年に初リリースされ、翌年再リリースされた「When Love Breaks Down」はファンに愛される魔法のような楽曲となりました。マーティンはこう振り返っています。
「この曲は最初に録音された曲だった。トーマスではなく、フィル・ソーンアリーが録音したんだ。1984年の夏の終わりから秋の初め頃、ロンドンのミッキー・モストのスタジオで録音した。『Steve McQueen』の制作に入った時、“When Love Breaks Down”は“誰もが気づいているのに、あえて触れたがらない”ような存在で、“いつかやらなきゃいけないけど、今は他のことに集中しよう”という感じだった。
僕の誕生日(1985年1月4日)の数日後のことだった。アルバムの録音を終えて帰宅した際、“When Love Breaks Downはどうする?”という話になった。”ああ、そうだった”となって、それで1月末にスタジオに戻り、1~2日かけてリミックス・ヴォージョンを制作した。トーマスはパディのヴォーカルを再録音したがっていた。アルバム全体のヴォーカル・スタイルに合わせたかったんだ。それが唯一の大きな変更点だった」