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プリファブ・スプラウト『Steve McQueen』40周年 マーティン・マクアルーンが同作語る

2025/08/13 18:47掲載
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Prefab Sprout / Steve McQueen
Prefab Sprout / Steve McQueen
プリファブ・スプラウト(Prefab Sprout)が名盤『Steve McQueen』を1985年にリリースしてから40年が経ちました。メンバーで、中心人物パディ・マクアルーン(Paddy McAloon)の弟であるマーティン・マクアルーン(Martin McAloon)は、Forbesの新しいインタビューの中で、同作について振り返っています。

「(デビューアルバム)『Swoon』はどちらかというと、比較的新しい曲を集めたアルバムだった。『Steve McQueen』の最初の3、4曲はすべて1976年から79年にかけて作られたもので、“Faron Young”“Johnny Johnny(aka Goodbye Lucille #1)”“Bonny”といった曲の多くはその時代の曲。僕たちの初期ライヴの定番曲だったんだ。初めてアルバムを作ることになったとき、“もうアルバムを作るチャンスはないかもしれない。古い曲に時間を費やすのはもったいない。新しい、興味深いことをやろう”と考えたから『Swoon』では、パディが最近書いた曲ばかりだったんだ。僕たちにとってとても新鮮だったよ。

(『Steve McQueen』のプロデューサーであるトーマス・ドルビー(Thomas Dolby)について)彼の経歴は知っていたよ。彼はパンクの曲でも仕事していたけど、フォリナーやプロデューサーのロバート・ジョン・“マット”・ラングとも仕事をしていた。彼はいつも、さまざまなことについて興味深い話をしていた。パディがヴォーカルを録る時、トーマスは単なる音符やフレーズだけでなく、その意味も踏まえて、それぞれのフレーズから最高の要素を引き出すのがとても上手かった。リズム感だけでなく、曲によってはリラックスした雰囲気を作り出すセンスも素晴らしかった。ドラマーのニール・コンティはビートの後ろでで演奏するのが得意で、僕はいつもビートより前に出るタイプだった。僕はどちらかと言えばパンク寄りで、ニールはソウル系だったんだ」

このアルバムにテーマ的なコンセプトがあったかとの問いに、マーティンはドルビーが手掛けたいと思った曲のコレクションだったと答えています。

「パディが持ってきた新しい曲の中には、“Appetite”や“When the Angels”のようなものもあった。彼はそれらをキーボードで書いていた。(シンセサイザーの)JX-3Pでシーケンサーを自分でセットアップしていて、シーケンスを走らせながら作業していた。テーマ的な要素は後から生まれたものだと思う」

『Steve McQueen』からは複数のシングルがリリースされ、中でも1984年に初リリースされ、翌年再リリースされた「When Love Breaks Down」はファンに愛される魔法のような楽曲となりました。マーティンはこう振り返っています。

「この曲は最初に録音された曲だった。トーマスではなく、フィル・ソーンアリーが録音したんだ。1984年の夏の終わりから秋の初め頃、ロンドンのミッキー・モストのスタジオで録音した。『Steve McQueen』の制作に入った時、“When Love Breaks Down”は“誰もが気づいているのに、あえて触れたがらない”ような存在で、“いつかやらなきゃいけないけど、今は他のことに集中しよう”という感じだった。

僕の誕生日(1985年1月4日)の数日後のことだった。アルバムの録音を終えて帰宅した際、“When Love Breaks Downはどうする?”という話になった。”ああ、そうだった”となって、それで1月末にスタジオに戻り、1~2日かけてリミックス・ヴォージョンを制作した。トーマスはパディのヴォーカルを再録音したがっていた。アルバム全体のヴォーカル・スタイルに合わせたかったんだ。それが唯一の大きな変更点だった」

『Steve McQueen』は1985年6月にイギリスでリリースされました。アメリカでは、映画俳優スティーヴ・マックイーンの遺族との法的トラブルを避けるため、『Two Wheels Good』というタイトルでリリースされました。

「(当時の彼らのアメリカのレーベル)CBSは、アメリカで『Steve McQueen』というタイトルでリリースすると何らかの法的措置が取られることを心配していたようだよ。僕たちがカーライルのどこかで生放送のTV番組を収録していた時、マネージャーから“アメリカ向けに新しいタイトルが必要だ”という連絡があった。僕が“Two wheels good, four wheels bad(二輪は良し、四輪は悪し)”と言ったら、パディが“Two Wheels Goodだ”と返して、それに決まった。

何年も経ってから、スティーヴ・マックイーンの妻と連絡を取った。彼女は写真集の企画に関わっていて、僕はその出版社と知り合いだったので連絡したんだ。彼女はとても素敵な人だった。脅しとかそういうことは一切なく、単なる予防措置だった。頭を悩ませないように名前を変えただけだよ」

マーティンは、リリース当時、『Steve McQueen』がブレイクするアルバムだとは思っていなかったと語っています。

「当時はまだ、なぜ『Steve McQueen』は『Thriller』ほど売れないのか、という思いに囚われていた。おそらくアルバムを出すバンドなら誰でも“マイケル・ジャクソンが5000万枚売れるなら、自分たちも売れないわけがない”と思っていただろうね。あるいは単に僕のエゴかもしれない。良い作品だとは思っていたけど、僕たちにとって、それが本当にブレイクしたのかさえ分からない。後世の評価では、実際より大きくブレイクしたと思われているかもしれない。それでも、この作品を作れたことは嬉しいし、とても誇りに思っているよ」

マーティンは10月、『Steve McQueen』を記念したTwo Wheels Goodツアーをイギリスで行います。同アルバムの全曲に加え、同バンドの代表曲も披露します。なお、中心人物パディ・マクアルーンは現在、長年にわたって特に視力と聴力に関する健康問題と闘っています。