HOME > ニュース >

「配送されたレコードのジャケットの角が折れていた」 購入者がレコードをコレクターズアイテムとみなすようになるにつれて大きな懸念事項に

2025/08/13 13:02掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
vinyl  (c) PA IMAGES
vinyl (c) PA IMAGES
配送されたアナログレコードのジャケットの角が折れていたことありますか? 音さえ良ければ問題ないと考える人がいる一方で、購入者がレコードを貴重なコレクターズアイテムとみなすようになるにつれ、配送中の損傷が大きな懸念事項となっており、現在、配送業界は解決策を模索しているという。米ビルボード誌が特集しています。

米Luminateの最近の調査によると、レコード購入者のターンテーブル/レコードプレーヤー所有率は2022年の23%から2024年には72%に上昇し、レコードプレーヤーで聴く人は2002年の17%から2024年には61%に増加しています。

しかし、業界関係者の多くは、レコード収集は現在、音楽を聴くためというよりコレクターズアイテムとしての側面が強いと指摘しています。米インディーズレーベル、Mello Music Groupのオペレーションディレクター、マイケル・トールは、同誌の取材に対して、レコード収集は「靴市場のようなもので、人々は履くためでなく転売するために購入し、また野球カードのように価値を保つために購入する人も多い」と話しています。

さらに、LPの価格が上昇していることも見逃せません。2017年の平均約25ドルから2023年には31ドル以上へと25.5%の上昇(インフレ率をわずかに上回る)を示しており、購入者は製品の細部にこれまで以上に注意を払っています。

そのため、現代のレコード市場の顧客にとって「角が折れているのは大問題」だと、ペンシルベニア州バックス郡の33 & 1/3 Record Distributorsのオーナー兼経営者スティーブン・パレルマンは語っています。

ニューベリー・コミックス音楽チェーンのブランドエンゲージメントディレクター、カール・メロは、こう付け加えています。「今やこれまでとはまった異なる顧客層が購入しており、製品に対する期待もまったく変わっています。人々は見た目が良く、ソーシャルメディアで使えるものを求めています。傷がある商品はそういう用途には向きません。特に友達がきれいなレコードを持っている場合には使いたくありませんよね」

ウォルマートやアマゾンなど大手小売店と提携し、昨年には11億ドルの売上を上げたレコード配給会社アライアンス・エンターテインメント社の営業副社長ケン・グレイサーによると、レコード配送業界で最も恐ろしいフレーズの1つは「角が折れている」だという。「レコードを配送する際、角が折れていると、顧客からすぐに電話がかかってきます。“なぜこんな状態のものを届けたのか?”と」と同誌に話しています。グレイサーのチームは「目視で損傷が確認できるものを出荷しないように訓練されている」という。

レコード流通業界の多くの関係者は、パンデミックが転換点だったと語っています。消費者はオンラインでアルバムを注文することに慣れ、自宅にレコードを配送してもらう客が増えるにつれ、ジャケットのダメージに気付く人も増えました。音楽作品の購入は長年返品不可でしたが、角の折れに対する交換要求がかつてないほど増加したという。

インディーズレーベル、サンデイズド・レコードのジェネラルマネージャー、ジェイ・ミラーは同誌に「10年前まで、レコードの郵送用ケースは1種類しかなかったように思う。現在では、少なくとも6種類の異なるタイプから選択できます」と話しています。