HOME > ニュース >

曲の長さは長年の減少傾向から増加傾向に転じている 英BBCの最新調査結果 「注意力の持続時間は徐々に戻りつつある」

2025/08/05 16:58掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Listening to an album - Credit: Getty - Contributor
Listening to an album - Credit: Getty - Contributor
ストリーミング時代になって曲は劇的に短くなりました。しかし、英BBCの新しい調査によると、曲の長さは再びゆっくりと伸びています。BBCは2025年、英国トップ40に入った曲の平均長は2018年の水準まで伸びていることを報告。曲の平均長は、過去最低記録だった2019年の約3分15秒から、2025年には3分30秒に伸びています。

近年、いくつかの研究で、1990年代以降、人気曲の曲の長さが着実に短くなっていることが報告されていました。この傾向は過去10年でストリーミングサービスやソーシャルメディアの台頭によって加速しました。

曲の平均長の傾向からもわかるように、曲は圧縮され、切り詰められてきました。イギリスのアーティスト、PinkPantheressが2021年に発表したアルバム『To Hell With It』の収録曲の平均曲長は1分18秒でした。彼女は2024年、「曲は2分30秒を超える必要はない」と大胆な主張をしたことで、大きな話題となりました。彼女は「繰り返しのヴァース(Aメロ)は必要はないし、ブリッジ(Bメロ)もいらない。必要ない!長いアウトロも必要ない」とABCニュースに語っていました。

しかし、BBCの新しい調査によると、曲の長さは減少傾向から増加傾向に転じています。

この調査では、ローラ・ヤングの「Messy」(4分44秒)、サム・フェンダーの「People Watching」(5分11秒)、チャペル・ローンの「Pink Pony Club」(4分18秒)などが、短縮化の流れに逆らい、拡大する再生時間の中に「意味のある歌詞」を詰め込み、「独特の世界観」を伝えている人気曲の例として挙げられています。

もう一つの最近の例として、ヤングブラッドの「Hello Heaven, Hello」が挙げられており、これは9分以上に及びます。ヤングブラッドは「曲の長さに関しては、すべてがデジタル化され、細分化されている中で、あえて流れに逆らいたかった」とBBCに語っています。

イギリスのポップシンガー、クラウディア・ヴァレンティナはBBCに対し、ファンは「アーティストの存在を作品の中で実際に感じたいという渇望を持っている」と語りました。

ソングライターのイネス・ダンは「視点が、センスが戻ってきている。人々の独自性が彼らを成功に導いているんだ。“Bohemian Rhapsody”のような長さの曲に戻れるかどうかはわからないけど、注意力の持続時間は徐々に戻りつつあると思う。それはつまり、人々が関心を持っているということで、自分にとってはまさに朗報。“わお、また3分の曲が作れるんだ!”って感じだよ」