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ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドを大成功直前に脱退したデヴィッド・サンシャス 今その決断を後悔しているのか?去った理由と共に語る

2025/07/31 18:04掲載
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Bruce Springsteen and David Sancious  2017. Photograph: Taylor Hill/Getty Images
Bruce Springsteen and David Sancious 2017. Photograph: Taylor Hill/Getty Images
ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)の最初の3枚のアルバムのレコーディングに参加したが、『Born to Run』がスプリングスティーンとバンドメンバーをスーパースターに変える前にEストリート・バンド(E Street Band)を脱退したデヴィッド・サンシャス(David Sancious)。彼は今、その決断を後悔しているのでしょうか? 英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で、バンドを去った理由や、今振り返ってみてどう思っているのか語っています。

彼はEストリート・バンドの名前のインスピレーションとなったという。1974年頃、サンシャスとスプリングスティーンはサンシャスが幼少期を過ごしたベルマーに戻っていました。

「どこかから帰る途中だった。12番街からEストリートに曲がった時、そこには通りの名前が書かれた白い石柱が立っていた。ブルースがそれを見て“Eストリート…Eストリート・バンド”と呟いたんだよ」

自分の故郷の住所がこの象徴的なバンド名のインスピレーションになったことについてどう感じたか尋ねられたサンシャスは「すごくクールだし、光栄なことだよ」と答えています。

彼は、後にEストリート・バンドとなるバンドの最初の黒人メンバーでした。クラレンス・クレモンズはそのすぐ後に加入しました。

「どんな状況でも、自分が黒人であることへの意識が常に、完全に、100%ある。ビーチにいたとき、2人の男が脅すような仕草をし、不適切な人種差別的なことを言っていた。クラレンスがやって来て状況を見て、僕のすぐ隣に座った。その後、ブルースが歩いてきた。彼は流木のかけらを見つけて、“友達を傷つけたら許さない”と言っているように手でそれを叩き続けていたよ」

サンシャスはスプリングスティーンと共に演奏を続けていましたが、ツアーの合間には自身の音楽制作にも取り組んでいました。サンシャスのデモを聞いたCBSは、3年間の契約を提示しました。この契約は彼のソロキャリアをスタートさせるものでした。それは断れないオファーでした。スプリングスティーンの3rdアルバム『Born to Run』に参加した後、サンシャスはEストリート・バンドを脱退しました。

『Born to Run』が大ヒットアルバムとなり、スプリングスティーンが時の人になったのは、どんな気持ちでしたか?と尋ねられると、サンシャスはこう答えています。

「正直、彼の成功をとても嬉しく思った。必ず成功すると分かっていたからね。1974年にテキサスでライヴをしたとき、観客が熱狂したんだ。ライヴが終わっても観客は帰ろうとしない。ブルースはいつもセットの最後に“For You”という曲をピアノで一人で演奏して終わらせていて、僕たちはステージを降りてそれを見ていた。彼を見ながら、みんながこの男のことを知ったら一気にブレイクするだろうなと思った。すごいことになるだろうとね」

サンシャスのソロやデヴィッド・サンシャス&トーンのアルバムで最も成功したものは「トップ100で1週間だけ78位に入った」ものだという。しかし、サンシャスは「100万枚売れなかったからといってアーティストとしての自分の価値が下がるとは思わない。それは成功の狭い定義であり、僕はそれに共感していない」と語っています。

1980年代初頭、サンシャスは自身の音楽制作を一時休止しました。「アーティストたちからツアーに参加してほしいという電話が鳴り止まなかった。ピーター・ガブリエルとツアーをし、その後スティング、さらにエリック・クラプトンやサンタナともツアーをした。彼らには思っている以上に共通点がある。誰もプランBを持っておらず、みんな、音楽への愛からやっているんだよ」

サンシャスは現在、レコーディングとツアーを続けています。また彼は常にスプリングスティーンと連絡を取り合っており、スプリングスティーンのツアーに参加したこともありました。「お互いのことが大好きなんだ。一緒に仕事をするのが好きで、状況が許す限りそれを続け、今なお素晴らしい結果を生み出しているよ」

サンシャスはEストリート・バンドの脱退について、今振り返ってみてどう思っているるのでしょうか? こう語っています。

「(もしそのまま残っていたら)失った人生があっただろうね。他の多くのアーティストと一緒に仕事をしたり、自分の音楽を作ったりとかね。もしもう一度やり直せるとしたら、同じことをするか? 間違いなくそうする。だって、僕は何かから逃げたのではなく、何かに向かって歩いたんだからね」