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トランプ関税 弦メーカーD'Addarioはこの危機をどう乗り切ろうとしているのか?CEO明かす 関税コストは2025年は3億円以上と予想

2025/07/25 16:56掲載
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d'addario guitar strings color code
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トランプ関税に、ギター、アコースティック、ベース、クラッシック等の弦を手掛けるメーカー、D'Addario(ダダリオ)はどう対応しているのか? 同社CEOジョン・ダダリオ3世はロイター通信の新しいインタビューの中で、同社がこの危機をどう乗り切ろうとしているのかを明かしています。ギター弦は値上がりするのか?

同社はほぼすべての製品をアメリカで製造していますが、サプライチェーンと流通はグローバルで、製造品の約45%を120か国に輸出しており、最大の海外市場は日本です。

「今年に入ってから、計画していなかった追加コストが50万ドル~75万ドル(約7300万円~約1億1千万円)発生していると推定しています」

原材料、あるいはその派生品が重要な問題です。例えば、D'Addarioはさまざまな種類の弦を巻くために使用される銅棒を大量に消費しています。トランプ大統領の「銅に50%の関税を課す」という方針は、間違いなく彼らのコストを急騰させるでしょう。

「問題は、私たちが手に入れている銅の出所が国内産なのか輸入品なのか、はっきり分からないことです。しかし、たとえ米国内のサプライヤーであっても、コスト増加は避けられない可能性が高いです」

米国が中国に対する関税を引き上げ始めた後、迅速な対応に迫られた同社は特別チームを編成し、中国製品を米国以外の顧客に出荷する方法を変える手段を模索しました。

「必要に応じて、アメリカ向けの出荷を他の市場に迂回させることも可能です。つまり、アメリカに向かう途中の貨物も、必要に応じて関税を避けるために世界の別の地域へ迂回させるのです」

一方、過去には、中国の工場は小規模な注文の直接出荷に抵抗していましたが、「関税の影響で、私たちの中国のサプライヤーは突然ずっと協力的になりました」とも話しています。

他の関税対策としては、(マンハッタンの隣の島ロングアイランドの)ファーミングデールの倉庫の一部に自由貿易地域を設ける許可を申請しています。ここを組み立て作業や輸入製品の保管に利用することで、国内注文の供給に使う時だけ関税を支払う仕組みを目指しています。

しかし、これは簡単に解決できる問題ではありません。必要な承認を取得し施設を準備するには、おそらく1年以上かかるでしょう。そして、会社の最善の努力にもかかわらず、控えめに言っても関税の負担は非常に重く、同社の関税コストは2025年末までに220万ドル(約3億2千4百万円)に達すると予想されており、昨年の70万ドルと比べて大幅に増加しています。

D'Addarioの弦やその他の付属品の価格がどうなるのか? こう説明しています。

「当社は5月初旬に価格変更を実施しましたが、関税がさらに高騰し続ける場合は、追加の値上げを検討する必要があるかもしれません」

それでも、D'Addarioは依然としてやや楽観的な姿勢を崩していません。

「結局のところ、私たちが集中すべきは、自分たちでコントロールできること、例えばオンショアリング(国外に移管していた業務を自国に移管すこと)や外国貿易区域の創設のようなことだと思います。それらは私たちがコントロールできることであり、市場における当社の存在感と強さを維持するために、私たちはこれらの取り組みを続けていきます」