ビリー・ジョエル(Billy Joel) が1969年に組んだ短命のメタル・バンド、アッティラ。メンバーが「おそらく史上最悪のバンドの一つだろう」とも語るこのバンドをなぜジョエルは組んだのか? ジョエルの新しいドキュメンタリー『Billy Joel: And So It Goes』の中で、ジョエル本人が振り返っています。Ultimate Classic Rockが抜粋を紹介しています。
ジョエルとドラマーのジョン・スモールは、以前にも別のバンド、ハッスルズで一緒に活動していました。ハッスルズは1967年と1969年に発表した2枚のアルバムが成功せず、スモールとジョエルは不満を感じていました。2人は他のバンドメンバーよりも音楽に対して真剣であると考え、彼らはバンドを脱退し、新たな方向へ進むことを決意しました。
レッド・ツェッペリンの1969年のデビュー・アルバムは重要なきっかけとなりました。ジョエルは、こう振り返っています。
「それを聴いた時、完全に打ちのめされたよ。ベートーベンの交響曲第9番を初めて聴いたような感覚だった」
スモールは「僕たちはレッド・ツェッペリンが好きだった。すべてのヘヴィメタルバンドが好きだったんだ」と付け加えています。
共同生活を始めた2人は、同じ方向性で曲作りに挑戦しました。たとえ、それに不向きだったとしても…。ジョエルはこう語っています。
「ヘヴィメタルバンドになりたかったけど、僕はギターは弾けない。キーボード奏者だからね。だからオルガンをアンプにつなぐ方法を考えなきゃならなかった」
バンド名は、5世紀前半に中部ヨーロッパに建国されたフン人の帝国(フン帝国)の王「アッティラ」からインスパイアされたものです。ジョエルはこう続けています。
「僕たちはアンプで世界を破壊するんだ。とにかく、できるだけ大きな音を立てたかったんだ」
彼らから視点からすると、結果は惨憺たるものでした。「おそらく史上最悪のバンドの一つだろう」とスモールは今、振り返り、ジョエルも「僕たちがやっていることを好きだと言う人は一人もいなかった」と同意しています。
彼らはエピック・レコードとアルバム契約を結びましたが、1970年にアルバム『Attila』が発売されると、バンドは長くは続きませんでした。ファンや批評家から拒絶されたことや、ジョエルとスモールの間に個人的な問題が生じたことなどが重なりました。ジョエルがスモールの当時の妻であるエリザベス・ウェバーと不倫関係になったことがバンドの終わりを告げました。
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