エリック・クラプトン(Eric Clapton)、
ジャック・ブルース(Jack Bruce)、
ジンジャー・ベイカー(Ginger Baker)が秘密裏に
クリーム(Cream)を結成してリハーサルを開始した1966年のある日。
マンフレッド・マン(Manfred Mann)のフロントマン、
ポール・ジョーンズ(Paul Jones)は、新しいコンピレーション・アルバムのために自身のドリームチームを編成していました。最初に招いたのはブルース。ジョーンズがさらにクラプトンとベイカーも招きたいとブルースに伝えると、ブルースは沈黙し「どれくらい知ってるんだ?」と言い、まだ秘密にしておきたかったクリームのことをばらしそうになったという。ジョーンズは英Mojo誌の新しいインタビューの中で、当時を振り返っています。
この出来事は1966年、エレクトラ・レコードが新進気鋭のロックアーティストを特集したコンピレーション・アルバム『What's Shakin』の準備をしていた時に起きました。レーベルはロンドンに拠点を構えようとしており、アルバムにもっと地元のアーティストを加える必要があると気づき、ジョーンズにイギリスのミュージシャンでバンドを組んでほしいと依頼しました。
ジョーンズはこう振り返っています。
「アルバムにはラヴィン・スプーンフル、ポール・バターフィールド、アル・クーパー、トム・ラッシュがいた。(プロデューサーの)ジョー・ボイドが“イギリス出身のアーティストがいないと、このプロジェクトは成立しない。ヤードバーズとかにも声をかけたけど、みんな断られた……バンドを組んでくれないか?”と言ったんだよ」
ジョーンズの頭に最初に浮かんだのはブルースでした。ブルースはすぐにプロジェクトへの参加を承諾し、他には誰を考えているのか尋ねました。ジョーンズはクラプトンを挙げ、クラプトンがちょうどブルースブレイカーズを脱退したばかりだから、参加できるかもしれないと言いました。
「もちろん、誰だって最初に彼に声をかけるよ」とブルースは言い、「他には?」と尋ねました。
「ドラムにジンジャー・ベイカーを呼べたら最高だな」とジョーンズが提案すると…。ジョーンズはこう振り返っています。
「沈黙があった。それから、ジャックが“どれくらい知ってるんだ?”と言った。
僕は“何について?”と聞き返した。
ブルースは一瞬止まった。そして、“ああ、何でもない”と彼は答えたんだ」
ジョーンズは、自分が提案したドリーム・グループが、すでに実在しているとは知りませんでした。
「ちょうどクリームを結成したばかりだったんだよ。彼らはすでにリハーサルを始めていたんだ!」
クラプトン、ブルース、ベイカーはクリームに取り組んでいたにもかかわらず、3人はジョーンズのプロジェクトに参加することに同意しました。しかし、最終的には公式発表によればベイカーは参加できなくなったため実現しませんでした。ベイカーは「世界に爆発的にデビューしようとしているときに」クリームの3人がこの曲に参加するのは「本当に馬鹿げている」と言ったらしい。
このバンドは、アルバムには「エリック・クラプトン&ザ・パワーハウス」としてクレジットされ、「Crossroads」を含む3曲を録音しました。このバンドは一回限りで、二度と一緒に録音することはありませんでした。