ZZトップ(ZZ Top)の
ビリー・ギボンズ(Billy F Gibbons)は、5~7歳の時に
B.B.キング(B.B. King)のレコーディング・セッションを直接目撃しました。自らギターを手に取るずっと前の出来事で、これはギボンズに深く影響を与え、ブルースを称えるキャリアを築くきっかけとなりました。ギボンズは「今も色あせない、かけがえのない瞬間」と表現しているこの出来事を米Guitar Worldへの寄稿で振り返っています。
ギボンズはこれまで、5~7歳だったと様々な機会に語ってきましたが、正確な時期についてははっきりしていません。70年近くも前のことですから、無理もないかもしれませんが、ギボンズは今回の寄稿で、その日の様子を驚くほど鮮明に覚えています。
この出来事は父親のコネのおかげで実現したと述べています。父親のフレデリック・ロイヤル・ギボンズは著名なオーケストラ指揮者、コンサートピアニスト、オルガン奏者で、長く成功したキャリアを持ち、ギボンズが生まれた頃には膨大な人脈を築いていました。
ギボンズの父親は彼をB.B.キングのレコーディング・セッションに連れて行きました。そこは、テキサス州ヒューストンにある、レコードプロデューサーのビル・ホルフォードのACAスタジオでした。ここでは、ライトニン・ホプキンス、リトル・リチャード、サニー・ボーイ・ウィリアムソン、メンフィス・スリムらがレコーディングを行いました。
「僕はトラッキングルームに案内され、壁際の椅子に座り、静かにしているように指示された」
セッション当時、ギボンズはまだ幼かったものの、彼は目の前で起きていること、そして言葉にされないやりとりにも気づいていたという。「何が起ころうとしているのか十分に察しがついたので、期待の波が一気に押し寄せたのを覚えているよ」と振り返っています。
ギボンズは椅子にしっかりと座り込んだまま、それまで静かだった空間が活気あふれる光景へと変貌していくのを見ていました。
「B.B.の指示で、機材を持った男たちが列をなしてやってきて、グループの指定された位置をセッティングし始めた。父がビル・ホルフォードと共に一行を出迎え、そして“キング”が入ってきた。B.B.は笑顔で握手をしていた。彼はヒューストンで以前働いていたことやレコード制作について少し話していた。その後、B.B.が選んだ曲について話し合った後、本格的な作業が始まったんだ」
キングはギボンズに気づき、近づいてきました。「B.B.は近寄ってきて、エレキギターが好きかと尋ねた。僕はにっこり笑った。それだけだった」と振り返っています。
「バンドの素早いリハーサルで流れができた。最初のテイクが始まった。3分間の見事な演奏が続き、次に別の曲へ。ワンテイク演奏の数々を目撃する素晴らしい経験だった」
ギボンズは敬意を込めて沈黙を守っていましたが、顔には笑みを浮かべていました。
「セッションが終わると、B.B.が近づいてきて、僕の父親を知っていると言い、楽しい時間を過ごせたかと尋ねた。言うまでもないけど、僕の“はい、サー!”という大声の返事に、B.B.も喜んでくれたと思うよ」