
Ben Gibbard - photo by Rachel Demy
デス・キャブ・フォー・キューティー(Death Cab for Cutie)のフロントマンである
ベン・ギバード(Ben Gibbard/48歳)は「ウルトラマラソン」好き。これまで何度も完走してきた彼が約10年間挑戦し続けて、ついに出場の機会を得たのは、米カリフォルニア州の山岳地帯の自然の中を100マイル(161km)を走るウルトラマラソン「ウェスタンステイツ100」。“世界で最も古く最も権威のある100マイル・トレイルレース”といわれているこのレースに初挑戦し、見事完走しています。しかし、かなり過酷だったそうで、「もうダメだと思った」瞬間もあったと、ランニング専門誌『Runner's World』にて当日の体験を語っています。
トレイルレースは、山や森などの自然の中の未舗装路を走るレースのことです。
wikipediaによると、「ウェスタンステイツ100」は標高の変化が極端で、「上りで5500メートル、下りで7000メートルの標高差を制限時間30時間以内で走る。毎年平均300人から400人ほどがスタートするが、24時間以内で完走するのは15から30%ほどの参加者だけである」という。
ギバードは2012年以降、20回以上のトレイルレースを完走しているベテラン・ウルトラランナーで、過去に100マイルレースも4回経験しています。ギバードは「ウェスタンステイツ100に出場するために約10年間挑戦し続け、待機リストで順位を上げてようやく出場の機会を得ました。
ギバードは6月28日の午前5時にスタートしました。コースの最高標高8,750フィートの地点を超え、急な下り坂の後、ランナーは「デビルズ・サム」と呼ばれる区間を登らなければなりません。約48マイル(約77km)地点に差し掛かっていた時、時刻は午後3時頃で、ギバードは32度の暑さにやられて、視界がぼやけてしまったという。ギバードはこう振り返っています。
「熱中症か何かだったと思う、デビルズ・サムの峡谷の頂上に着いた頃には、目が見えなくなっていた。ひどい吐き気がして、物が二重に見えて倒れ込んだ。毛布をかけてもらっても震えが止まらなかった。かなりひどい状態だったよ」
やがてギバードは少しずつ体調が回復し、救護所のボランティアたちが温かいスープを飲ませてくれたおかげで元気を取り戻しました。そこから再び立ち上がり、午後8時50分にはフォレストヒルという小さな町にある62マイル地点のエイドステーションに到着しました。
その後、彼はヘッドランプを装着して夜通し走り続け、翌日29日午前1時過ぎには、水温12度のアメリカン川を渡り、そして29日の午前8時15分に、ついにゴールしました。
ギバードはオレゴン州ポートランドの小さなスタートアップブランド、スピードランドのGS:CCDシューズを履いており、8月には彼とのコラボレーションによるカスタムモデルが発売される予定です。
ギバードは、レースの困難な部分を乗り越えるのに役立ったものの1つとして、お気に入りのバンド、
ティーンエイジ・ファンクラブ(Teenage Fanclub)の音楽を聴いていたと語っています。
ギバードは、レースをこう振り返っています。
「ここまでたどり着けたのが信じられない。本当に厳しい状況だった。ずっとこの競技を続けてきたけど、身体に危険を感じた。エイドステーションのボランティアがいなかったら、絶対にやり遂げられなかった。みんなとても親切で、必要なときには何でもしてくれたよ」