HOME > ニュース >

大友克洋『AKIRA』の実写化プロジェクト 20年以上開発してきたワーナー・ブラザースが撤退 米誌報道

2025/06/29 21:42掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
『AKIRA』(C)1988マッシュルーム/アキラ製作委員会
『AKIRA』(C)1988マッシュルーム/アキラ製作委員会
大友克洋『AKIRA』の実写化プロジェクトを20年以上開発してきたワーナー・ブラザースが、同作品の実写映画化権を手放したと米ハリウッド・リポーター誌が報じています。同誌によると、権利は講談社に戻りました。

同誌は、他のスタジオやストリーミングサービスでの実写映画化を目指して名乗りを挙げているプロデューサーらがいるとも報じています。

ワーナー・ブラザースは2002年に『AKIRA』の実写映画化権を取得し、『ブレイド』の監督スティーヴン・ノリントンを起用して、ジョン・ピーターズがプロデューサーを務める形で映画化を進めました。

その後、ハリウッド史上最も長い開発地獄の一つが続き、スタジオはその後20年にわたり数千万ドルから、最終的に8桁の金額を投じました。ノリントン版は頓挫(彼の『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』の興行失敗が一因)し、数年後にはレジェンダリー・ピクチャーズが共同出資に加わりました。レオナルド・ディカプリオとジェニファー・デイヴィソンがプロデューサーとして参加し、最後までプロジェクトに粘り強く関わり続けました。

参加しては離れていった脚本家や監督にはゲイリー・ウィッタ、マーク・ファーガス、、ホーク・オズビー、スティーヴ・クローヴス、ヒューズ兄弟、ジャウマ・コレット=セラらが名を連ねます。トミー・リー・エドワーズ、クリス・ウェストン、レイ・ライらによるストーリーボードやコンセプトアートも多数制作されましたが、結局引き出しにしまわれる結果となりました。

このプロジェクトは予算の争いや文化的な衝突(一時は「ネオトーキョー」が「ニュー・マンハッタン」に変更されるなど)、さらには、白人化批判に直面しながら、何度もプリプロダクション段階に入りました。2012年、ワーナーはバンクーバーの制作オフィスを閉鎖し、プロジェクトを見直すための一時停止を決定。当時、予算は9000万ドルで、『トロン: レガシー』の主演ギャレット・ヘドランドが出演契約を結んでいました。クリステン・スチュワート、渡辺謙らも出演交渉中でした。スタジオは数年間かけて回復し、プロジェクトは再開しました。

ついに2017年、タイカ・ワイティティが参加し、脚本・監督として新たな構想を提案。このヴァージョンはかなり進行し、カリフォルニアの映画税制優遇を獲得、2021年5月21日の公開日が設定され、オール日本人キャストを目指して日本でキャスティング担当者が活動していました。しかしワイティティが多忙になり(『ジョジョ・ラビット』のポストプロダクション、『マンダロリアン』のエピソード監督、『ソー:ラブ&サンダー』の脚本執筆など)、プロジェクトのスケジュールは何度も変更され、追加プロデューサーとしてギャレット・バッシュとジェレミー・クライナーが参加しますが、ワイティティは『AKIRA』に再コミットせず、以降プロジェクトは休止状態となっていました。