英国のウェールズで伝承されてきた伝統的な民俗音楽が、早急に対策を講じなければ「1世代以内に消滅する可能性がある」と新たな報告書が指摘しています。
グレートブリテン島の南西に位置するウェールズは、「歌の国」ともいわれているという。数多くのミュージシャンを輩出しており、マニック・ストリート・プリーチャーズ、ステレオフォニックス、スーパー・ファーリー・アニマルズ、フューネラル・フォー・ア・フレンド、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン、シャーリー・バッシー、トム・ジョーンズ、メリー・ホプキン、ボニー・タイラーなどが有名です。
英BBCによると、ウェールズ芸術評議会が委託した調査では、伝統的な音楽のスキルを学んだり、それに囲まれて育つ若者が減少していることがわかりました。
ウェールズの伝統音楽シーンに関する調査報告書は、イングランド、スコットランド、アイルランドの伝統音楽分野が「音楽業界の幅広い支援構造」の恩恵を受けているものの、ウェールズでは「そのような支援構造がほとんど存在しなかった」と指摘しました。
報告書は、スコットランドの伝統音楽シーンが芸術評議会の総予算の4.8%を配分されたのに対し、ウェールズの伝統音楽シーンは調査当時、0.66%しか配分されていなかったと指摘しました。
「今行動を起こさなければ、この文化は一代で消えてしまう、人々ははっきりとそう言っていた」「伝統を継承する若者がいなくなる。状況はそれほど深刻です」と報告書の著者であるアンガラッド・ウィンは述べています。
これを受け、ウェールズ芸術評議会は、民俗音楽が「本来あるべき形で支援されてこなかった」と認め、現在ではこの芸術形態への投資を3倍に増やしていると述べています。