
Jimi Hendrix - Sept 17th, 1970. Samarkand Hotel, London - Photo by Monika Dannemann
ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)が愛用していたギターの一つ、黒いフェンダー・ストラトキャスター、通称「ブラック・ビューティー」は現在、
ウリ・ジョン・ロート(Uli Jon Roth)が事実上の管理者となっています。このギターは長年にわたり多くの買い手から注目を集めており、中には900万ドル(現在の為替で約13億円)で買い取るとの申し出もあったそうですが、全て断っているという。ロートは米Guitar Worldの新しいインタビューの中で、このギターについて語っています。
「ブラック・ビューティー」は1968年製の黒いフェンダー・ストラトキャスター・ギターです。このギターはヘンドリックスにとって非常に重要で、亡くなる前日にも手にしている姿が確認されています。1970年9月17日にロンドンのホテルで当時の恋人モニカ・ダンネマンが撮影した写真には、紅茶を飲みながら愛おしそうに黒いストラトを抱えるヘンドリックスの姿が収められています。
このストラトはヘンドリックスの早すぎる死の後、ダンネマンの手に渡り、彼女が1996年に亡くなるまで所有していました。その間、ダンネマンはロートのパートナーとなり、最終的にロートがこのギターの事実上の管理者となっています。
「あのギターは僕のものじゃない。ダンネマン家のものだ。モニカが生きていた頃、ずっとそこに置いてあったけど、僕は一度も弾いたことがなかった。
もしかしたら数音弾いたかもしれないが、弦が切れるのが怖かった。これはヘンドリックスが残したギターの中で、唯一彼が最後に触れた時と全く同じ状態で残っているものなんだよ。そして、彼が最後の年に多くのライヴで弾いたギターでもある。バンド・オブ・ジプシーズのコンサートで“Machine Gun”を演奏した時に弾いたのもこれだし、ドイツでの最後の公演でも弾いていた。僕はその時バックステージにいた」
このギターは長年にわたり多くの買い手から注目を集めてきました。こう振り返っています。
「モニカが生きている頃、30年ほど前に、とんでもない金額で買おうとした人がいたよ。30年前は100万ドル(当時の為替で約1億円)は大金だった。今でも大金だけど、一部の人にとってはそうでもない。マイクロソフトのナンバー2で、シアトルにヘンドリックスの博物館を設立したポール・アレンが当時100万ドルを提示した。モニカは“このギターは売り物じゃない”と言っていた。今ならもちろん、もっと高値がつくはずだよ。特に、一度も改造されていないとなればなおさらだ」
それを上回る話として、中東の美術商が900万ドルを提示したという、業界ではよく知られたエピソードをロートは認めています。
「その男と電話で話した時、僕が“このギターを売るべき理由を一つ挙げてくれ”と言ったら、彼は“お金ですかね...”と答えたので、僕は“それは理由にならない”と言って、それで話は終わったんだ」
このギターは現在は金庫に保管されています。「いつかモニカの絵と一緒に展示できればと思っているよ」とロートは語っています。