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チャック・ベリーと一緒に埋葬されたギブソンES-355 その経緯をチャックの息子が明かす

2025/06/09 19:20掲載
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Chuck Berry - April 9, 2017 (Image credit: BIll Greenblatt/UPI/Alamy)
Chuck Berry - April 9, 2017 (Image credit: BIll Greenblatt/UPI/Alamy)
2017年3月18日に90歳で亡くなったチャック・ベリー(Chuck Berry)はギブソン ES-355セミホロウ エレキギターと共に埋葬されました。このギターがどのようにしてチャックの永遠の安息の場所に加わったのか、これまで完全には明らかにされていませんでした。チャックの息子のチャールズが米Guitar Playerの新しいインタビューの中で、その経緯について明かしています。

「父が亡くなった後、僕と母、姉のメロディは父の葬儀の準備をしていて、棺を選んだりしていた。葬儀屋が“ベリー様、当社が提携している棺屋なら何でも作れます。完全にカスタマイズ可能です”と言うと、姉のメロディが“例えば、ギターを入れられる?”と聞いたんです。それから母とメロディはさらに話し合い、姉のメロディは“ギターを作って、父と一緒に棺の中に入れてはどう?”と言い、母も“いいアイデアね!”と言っていた。2人は僕が家族の中でギターオタクだと知っていたので、僕を見て“それってできないの? それか、父のギターの一本を使えばいいんじゃない?”と尋ねてきた。僕は“え?!何言ってるの...ダメだよ!”と思ったよ」

さらに話し合った末、母と姉はチャールズを説得し、彼は棺に収まるようカスタマイズしたギターについてギブソン社に問い合わせました。彼が電話でその質問をすると「電話の向こう側では、しばらく沈黙が続いた」という。やがて、彼はギブソン・カスタムショップの熟練職人であり、ギブソン・マーフィー・ラボ・コレクションの名付け親でもあるトム・マーフィーを紹介されました。「彼は“チャールズ、君のお父さんは私たちにとって最愛の人なんだ。新品のギターを送るから、自由に使っていいよ”と言ってくれました」と振り返っています。

ギブソンは、チャックがキャリアの大半で使用していたのと同じマエストロ・ヴィブロラを搭載した赤い仕上げのES-355を提供しました。あとは、父親とES-355を収めるのに十分な深さの棺を用意するだけでした。チャールズはこう振り返っています。

「棺の会社とは連絡を取っていたので、両者を電話でつないて“よし、みんな、大体のイメージはわかってもらえたよね”と伝えた。棺の会社は該当する棺を見つけ“上部に十分なスペースがあります”と言ってくれた。それで“了解、葬儀の準備をしなきゃいけないから、進捗は随時知らせてくれ”と伝えたんだ」

こうして完成した棺ですが、葬儀に出席した多くの人々が、そのギターがチャックと共に埋葬されるとは思っていなかったようです。チャールズはこう振り返っています。

「葬儀の終わり、母は(葬儀関係者に)“ベリー夫人、(このギターを)取り出しましょうか?”と尋ねられた。母は”いえ、いえ、そのままで”と言っていた。それから、棺を閉じ始めると、みんなが息を呑んだ。その場には500人くらいのギタリストがいて、“マジか、ギターを入れたまま棺を閉めるなんて!”という声も聞こえたよ。それから8年経った今でも、ギターはそのままそこにある」