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シャロン・オズボーン オジーのマネジメントと音楽業界について語る オジーは絶対に前座をしない方針だった/“永久拘束”を音楽業界から排除すべき他

2025/06/09 13:05掲載
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Sharon & Ozzy Osbourne
Sharon & Ozzy Osbourne
オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)の妻でマネージャーのシャロン・オズボーンはMusic Business Worldwideの新しいインタビューの中で、オジーのマネジメントと音楽業界について語っています。

Q:今までに受けた最高の音楽ビジネスのアドバイスは何ですか?

「音楽出版権(著作権)は絶対に手放すな!自分が本当に辞めようと思う段階になるまで、そして大金で売れるようになるまで、絶対に音楽出版権を手放してはいけない。自分の曲がどこで使われるか考えてみて。広告で使われるたびに数百万ドルを得る可能性がある。他のアーティストがカヴァーして、自分ではヒットしなかった曲がヒットすることだってある。今では多くのアーティストを知っているけど、レコード会社と契約する時、会社側が音楽出版権を欲しがる。“ふざけるな、絶対にダメだ!って言うべきよ」

Q:オジーのツアーやライヴの契約を、特に初期の頃はどのようにアプローチしていましたか?

「私たちは、オジーは絶対に誰かの前座(オープニング・アクト)をしないという方針だった。その考えでやるなら、自分が何をしているかしっかり把握しておく必要があった。“チケットが売れ残ったのは私のせいじゃない。運営側の問題だ、音響システムがクソだったんだ!”と責任転嫁はできないからね。全ては自分に帰ってくる、だから、やっていることをしっかり理解しておかなければならないのよ」

Q:音楽業界全体は、ロックとメタルからスーパーファンについて何を学ぶことができるでしょうか?

「持続性ね。現在の音楽業界を見ると、5年後もこの音楽を聴いているだろうかと考えてしまう。とても消耗品的。今のアーティストたちを見て、“70歳代後半になってもダイアナ・ロスのように影響力を持ち続ける人はいるだろうか?”と考えてします。まあ、半分はそうならないでしょう。本当にそう思う。時代の試練に耐えられるとは思えない。今活躍している中で、次のマドンナは誰? 次のローリング・ストーンズは誰? あなたが言及したバンドたちのロゴや名前は、Tシャツにプリントされて何十年も売れ続けている。50年後もローリング・ストーンズの舌マークみたいに、コールドプレイのTシャツを着た人を街で見かけるかしら? あの舌と唇のロゴは永遠に残るでしょう。今のアーティストの誰がそんな存在になれる?

これこそアーティストがキャリアを考える上で重要な点。今、今、今だけじゃない。未来を見据えないと。時はあっという間に過ぎる。気づけばまた10年経っていて“自分はまだ価値があるのか?やりすぎじゃないか?”と自問するようになる。今のアーティストの多くはマネジメントが悪く、アドバイスも的を射ておらず、やりすぎていると思う。休むタイミング、息抜きするタイミング、1年や2年休むべきタイミングがわかっていない」

Q:その点について、音楽業界にはマネジメント、レーベル、音楽出版を含めた長期的なアーティスト育成が十分にあると思いますか?

「現在、レコード会社には育成なんてない。彼らは全てを奪い取る。(アーティストを) 育成するレコード会社なんて存在しない。A&R部門はただネットを見て探すだけ。それだけ。彼らはあなたの音楽出版権、グッズ、その他全てを取り上げ、やることはプレスと流通、ストリーミング配信だけ。ほとんどのレコード会社はストリーミングサービスも所有していて“10億回再生されてすごい”とか言ってるけど、1回の再生で1ペニー(約2円)も稼げない。アーティストの音楽を完全に搾取している」

Q:それらは、マネージャーの役割(アーティストの発掘と育成)や、マネージャーが負うリスクにどのように影響すると思いますか?

「私の時代、マネージャーはアーティストを支援し、生活の心配をさせずに創作に専念できるようにしていた。バンドならアパートや家を用意し、全ての費用を負担した。アーティストに自分の資金を投資していたのよ。今はそんなことは絶対にない! ソーシャルメディアのおかげで、アーティストをブレイクさせる方法は完全に変わった。今のマネージャーたちは取引に奔走し、多くがエージェントも兼ねている。エージェントを所有していないと嘘をつく人もいるけど、それは違法だから。

アーティストはかつてライヴをしなければならなかった。ファン層を築くために常にライヴをこなしていたし、パフォーマンスのスキルを磨いていった。今はそんな必要がない。自宅の庭で、犬に向かって演奏するだけでいい。才能があればすぐに人々が気づき、瞬時に広まる時代だ。世界中を巡り、新たな市場を開拓する時代は終わった。今は瞬時に広まる。これはアーティストにとって素晴らしいことだけど、一方でパフォーマンススキルを磨く時間がない。ツアー経験がなく、観客とどう接すればいいか知らない。マイクのテクニックでさえ、今の若い子たちはは理解していない。ただマイクの前で立っているだけ」

Q:音楽業界で一つ変えられるものがあるとしたら何ですか?その理由は?

「“永久拘束”という概念を音楽業界から排除すべき。レコード会社がアーティストの作品を一生所有する権利を持つべきではない。音楽出版社も同じ。こう考えてみてほしい。例えば、家を購入するために銀行からローンを組んだとする。ローンを完済しても銀行から“あなたはこの家を永遠に所有できません”と言われるようなものなのよ。それがアーティストに起こること。レコード会社に行くと、アルバム制作のための資金を前払いしてくれる。それがヒットすれば、レコード会社にお金を返済し、彼らはアルバム制作のために出した資金をすべて回収したうえに、その作品を一生所有する。これはどういう仕組みなの? 返済したのに。アーティストもレコード会社も利益を得たのに、それなのに、なぜ彼らは作品を所有し続けるの?」

Q:伝統的なレコード業界の未来はどうなるのでしょうか?

「彼らは皆、傲慢になるのをやめて、アーティストは自分たちでやるのはとても簡単だということに気づかなければならない。自分の将来について考えなければならない。私の親しい友人たちの中にはまだレコード会社にいる人もいる。でも今の(一部の)レコード会社がやっていることは、本当にひどい。世界最大のレコードレーベルの一部の人々が“アーティストが我々を裏切る前に、我々がアーティストを利用しなければならない”と言っているのを耳にしたことがある。この業界は、すぐに莫大なお金を稼ぐことができる一方で、非常に競争が激しい世界。自分たちの力でやっていこうとする若者たちには、もっと力をつけてほしい」

また同じインタビューの中で、ブラック・サバス(Black Sabbath)の最後のコンサート『Back To The Beginning』には多数のバンド/アーティストがサポートを務めますが、シャロンはジューダス・プリーストと、AC/DCのアンガス・ヤングにも参加してほしかったが、2組とも、その日は仕事のため来られなかったとも話しています。