アイアン・メイデン(Iron Maiden)のギタリスト、
デイヴ・マーレイ(Dave Murray)は、1990年代後半にバンドが解散するかもしれないと恐れていたという。MusicRadarの新しいインタビューの中で振り返っています。
マーレイは、ブレイズ・ベイリーがフロントマンを務めていた1990年代が最も苦難の時代だったと語っています。
「ブレイズは素晴らしいシンガーで、本当にいいやつだった。彼のことは本当に気に入っていた。でもブルース(ディッキンソン)が去ってブレイズが加入した時、俺たちは本当に後退してしまった。突然また一からやり直すような感じになった。上昇していた勢いが失われ、後退してしまったんだ。だからその時期、俺たちは演奏を楽しんではいたけど、バンドがいつまで続くか考えたこともあった。それから、ブルースとエイドリアン(スミス)が戻ってきた時、バンドに新たな活力が生まれたんだよ」
メイデンの長いキャリアを振り返り、彼はこう続けています。
「まるでジェットコースターのようだった。最初は国内を駆け回る日々だった。ロンドンから始まって、どんどん広がり、最終的には世界中に駆け回るようになった。1980年代前半から本当に動き出し、それ以来止まっていない。アルバムを出してツアーをして、またアルバムを出してツアー…という繰り返しだった」
マーレイは、メイデンが1984年8月から1985年7月にかけて行った「World Slavery Tour」が、バンドメンバーの心身に悪影響を及ぼしたことを認めています。
「あのツアーをした時、みんな少しバランスを崩したと思う。あれで、鎧にいくつかひびが入ったと思うよ」
マーレイは、メイデンでは常に後方に回り、大きな決断はスティーヴ・ハリス、ブルース・ディッキンソン、そしてマネージャーのロッド・スモールウッドに任せてきたと語っています。
「フロントに立つ人は必要で、スティーヴは最初からその役割を担ってきた。スティーヴとブルース、それにロッドの3人で決めている。個人的には、チームの一員でいるのが好きなんだ。リラックスして、自分がやっていることを楽しめるし、周りで起こっている、くだらないことにいちいち腹を立てたりしなくていいからね。のんびりしているのが性に合ってるんだ。俺をイライラさせるには相当なことが必要だよ。だって時間の無駄だと思うから。そんな怒りを抱える必要はないんだよ。こういった感情の多くは、演奏を通じて発散できる。演奏は一種のセルフセラピーみたいなものさ。だから俺は怒りをコントロールする必要なんてない。ただ音楽を演奏するのを楽しんでるだけなのさ」
マーレイは、メイデンの独特なサウンドは、バンドの代表曲の多くがスティーヴ・ハリスによって書かれているからだと考えているという。
「スティーヴが曲を書く時、間違いなくその曲には独自性がある。ギタリストなら書かないようなメロディやテンポの変化がある。それが素晴らしいんだ。プレイヤーとしての可能性を広げてくれるからね。曲はスティーヴによって形作られていて、それが美しい。例えば“Phantom Of The Opera”は、全体のイメージも含めて全てが詰まっている。それがメイデンの曲の本質だと思う。聴き手を旅に連れていくんだ」
マーレイは、他のメンバーとは異なり、サイドプロジェクトには興味がないという。
「誤解しないでほしいんだけど。俺も他の人とジャムセッションしたり、チャリティーイベントを楽しんだりはするよ。スティーヴはブリティッシュ・ライオンをやれるほどのエネルギーを持っていて、俺はそれを尊敬してる。でも俺の場合は、メイデンをやっている時は全てを捧げるけど、スイッチを切るタイミングを分かってる。クラブで演奏したり、ツアーバスで移動したりする必要はもう感じない。だって、もうやり尽くしたからね! だから、スティーヴがそれをやってるのは本当に尊敬するし、ブルースもそうだし、エイドリアンも自分の道を歩んでいる。彼らがそれをやりたいなら幸運を祈るよ。それは純粋な情熱だし、大きなスタジアムでも小さなクラブでも、どんな形であれ演奏することを楽しんでいる。200人の前だろうと2万人の前だろうと、演奏する喜びはほとんど変わらない。感情的なつながりと、演奏することへの愛は変わらないよ」