セイント・エティエンヌ(Saint Etienne)は9月にリリースするラスト・アルバム『International』をもって、35年に及ぶレコーディングキャリアに幕を下します。メンバーは英ガーディアン紙のインタビューの中で、なぜ最後のアルバムなのかについて語っています。
セイント・エティエンヌでは、通常ボブ・スタンリーがバンドのアルバムコンセプトを提案します。2024年の冬にリリースされたアンビエント・ポップ・アルバム『The Night』の制作中、スタンリーが次作のコンセプトを提案しました。それはグループの終焉でした。
スタンリー:
「不快や衝撃を与えるつもりはなかった。長年一緒にいると、自然とテレパシーのようなものが生まれる。みんなが同意するだろうと感じていたんだ」
メンバー3人はヨークシャー、イースト・サセックス、オックスフォードシャーに散らばって暮らしているため、スケジュール調整が困難になっているという。
ピート・ウィッグス:
「(スタンリーの提案について)慣れてくると、素晴らしいアイデアだと思った。不和で別れるわけではないので、ある程度コントロールできる形で終われるだろうしね」
9月にリリースされる『International』がセイント・エティエンヌにとって最後のアルバムとなります
サラ・クラックネル:
「アルバムの旅を最高の形で締めくくりたかった。本当に特別なものを作って、全盛期に幕を下ろしたいと思ったのよ」
『International』のレコーディングはドラマティックな要素に乏しかったという。「なぜなら僕たちはイギリス人だから」とスタンリーは言っています。しかし、最後の曲「The Last Time」は違いました。この曲は、メンバーと熱心なファンへの別れを告げるために書かれました。
サラ・クラックネル:
「泣かずに歌い終えるのがとても難しかった。この曲はアルバムの最後に録音した曲で、その時初めて実感がこみ上げてきたのよ」
スタンリーは、このインタビューの中で、ポップミュージックが衰退する芸術であると語っています。かつては、ポップミュージックのほとんどのグループが完成度の高い作品を出し、ポップの前進を牽引していましたが、今はその勢いが鈍ったと指摘。「ポップは明らかに昔ほど重要ではなくなった。まるでジャズや現代クラシック音楽のようなものだよ。素晴らしい作品はあるけれど、文化的なインパクトは小さい。1920年代以前も音楽はそこまで重要じゃなかったしね。(セイント・エティエンヌ自身もそうであったように)こうしたものは永遠に続くものじゃないんだ」と語っています。
メンバーの今後について、ウィッグスは映画のサウンドトラックに取り組んでおり、スタンリーはさらに多くの本を書いており (彼はすでに2冊のポップ・ミュージックの歴史を書いている)、また2人は再発レーベルAce Recordsのためのアーカイブ・ポップ・コンピレーションも今後も続けるという。しかし、クラックネルは「2025年の終わり以降のことは考えていない」と苦笑いしています。
レコーディングキャリア、そして活動に幕を下すようですが、スタンリーは仕事の話をせずにバンドメンバーやその家族に会うのを楽しみにしていると話し、ウィッグスとクラックネルの子どもたちは「いとこのようなもの」だと話しています。
最も誇りに思っていることは何かと尋ねられたクラックネルは、13枚のアルバムや『トップ・オブ・ザ・ポップス』出演などではなく、「友情」だと答えています。「私たち3人がこんなにも強い絆で結ばれていること。それは永遠になくならないわ」