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米ギターエフェクターメーカー、トランプ関税によって年内に破産するリスクに直面していることを公表

2025/05/22 13:39掲載(Last Update:2025/05/23 00:59)
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EarthQuaker Devices
EarthQuaker Devices
米オハイオ州を拠点とするギターエフェクターの製造メーカーが、トランプ関税により、コストが増加し販売が鈍化したため、年内に破産するリスクに直面していることが明らかにされています。

オハイオ州アクロンで手作りでエフェクターを製作しているEarthQuaker DevicesのCEO兼共同創設者であるジュリー・ロビンズは5月14日、米上院中小企業・起業家委員会にて連邦議員を前に演説を行い、この事実を明かしています。オハイオ州アクロンの新聞Akron Beacon Journalが報じています。

ロビンズは「弊社は完璧な信用を持ち、支払いを滞納したことは一度もありませんが、流動性(※売買が活発に行われている状態)が急速に枯渇しつつあります」と述べました。

ロビンズは演説に加え、書面による証言も行いました。それによると、2025年の間に、関税によってペダル1台あたりのコストが4月27日の2セント(約3円)から12月28日には12.80ドル(約1850円)へと上昇し、640%も増加する見込みであるという。

ペダルの輸出もまた、同社は特に海外販売に依存しているため、困難を極めています。同社は通常、完成品ペダルの30%から40%を海外市場に輸出しており、2019年には米国中小企業庁から「年間最優秀輸出企業」を受賞したこともあります。しかし、現在の貿易戦争の真っただ中では、輸出は深刻な打撃を受けています。

書面による証言はこう続いています。

「今年、一部の国では輸出が50%から100%も減少しています。顧客からは、これは消費者の反米感情と、米国の関税が混乱を招いたことによる世界的な金融混乱が原因だと言われています。米国の評判がこれほど急速に落ちるのを見るのは、本当に辛いことです」

さらに、輸出コストの増加に加え、同社はペダル製造に必要な原材料のほぼすべてを海外から輸入しており、原材料の約75%は中国から輸入しています。

EarthQuaker Devicesの在庫管理システムと調達部門責任者であるブラッド・ソーラは、関税率が変動しているため、原材料が米国の港に到着し、米国税関・国境警備隊を通過した際に、実際のコストがいくらになるのかを会社として正確に算出できない状況だと説明しています。

ロビンズと、彼女の夫でEarthQuaker社長のジェイミー・スティルマンは会社のために5つのローンで120万ドルを借り入れ、さらに自宅を担保に入れています。ロビンズは従業員を解雇したり、給与や福利厚生を削減したりすることがないようにしたいと話しています。

「私にとって従業員はとても大切な存在です。彼らの多くは、かけがえのない知識を持っていて、その代わりはとても難しいのです。それに彼らは家族を養うためにこの仕事からの収入に頼っています」

ロビンズの提案は? 関税を元に戻すか、中小企業を免除するかだという。