![PINK FLOYD at POMPEII - MCMLXXII [LP]](https://amassing2.sakura.ne.jp/image/jacket/large/2025/138246.jpg)
PINK FLOYD at POMPEII - MCMLXXII [LP]
ピンク・フロイド(Pink Floyd)が1971年にイタリアのポンペイ遺跡で行った伝説のライヴ・パフォーマンスを収めた『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ(原題:Pink Floyd Live at Pompeii – MCMLXXII)』。初のアナログレコード発売(5月21日発売)にあわせ、最新リミックスを担当した
スティーヴン・ウィルソン(Steven Wilson)が秘話を語る最新コメントが公開されています。
この『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』の意義についてこう語っている。
「この作品は、シド・バレット脱退後「ポスト・サイケデリック期」から『狂気』へ向かうピンク・フロイドの過渡期をとらえた、すごく重要な作品だと思う。ピンク・フロイドが、即興重視のポスト・サイケなバンドから、コンセプチュアルで構成重視のロック・バンドへと進化していく過程が、まさに描かれているんだ。『狂気』のレコーディングが進む中で、楽曲の構成はより緻密になっていき、サイケ的要素や即興性は抑えられていく。でもライヴでは、まだ自由さと実験性が色濃く残っていて、バンドのそんな進化のプロセスをここまで明確に残している作品って、ロック史でもほとんど例がないと思う」
今回のニュー・ヴァージョンで新たにリミックスを手掛けた際のマスターテープの状況や目指した音について、スティーヴン自身の初コメントも。
「今回手元にあったのは、バンドの4トラック・モノラルの素材だったんだよ。つまり、ドラムもモノ。だからドラム内のバランスも固定されてて、ベース、キーボード、ギターも、それぞれ基本的にモノ・トラックが1本ずつという感じ。だから、あくまで“素材”としてはすごくシンプルだった。古い素材で、しかも使えるテープも限られてる中、空間的な広がりとかサラウンド感、音を立体的にするのは非常に難しかったけど、僕がリミックスで目指したのは、音のリアルさ、まさに“生のライヴ”という感触だった。まず考えたのは“この人たちは屋外で演奏してるんだ”ってこと。つまり、ホールなどの残響音がほとんどない、乾いた音になっているはずだとイメージした。だったら、リバーブとか人工的な残響を加えるべきじゃない、それよりも、演奏してる人たちが本当に目の前にいるような、生っぽくてオーガニックな音像を作りたかった。それが、僕のミックスで一番大事にした部分だね」
無観客ライヴ・パフォーマンスについて、自分の子供の頃の思い出も含めて
「そう、それってまさにフロイド的な美学なんだよ。他のバンド――たとえばザ・フーなんかが無観客でライヴをやるなんて、想像できないでしょ?でもフロイドだと、なぜか成立してしまう。僕がフロイドを聴いて育った頃、ずっと感じていたのは、フロイドって、観客に媚びない。聴き手を置いてきぼりにしてでも、自分たちのやりたいことを突き詰める姿勢があって――それがすごくカッコいいと思った。この作品は、それを体現している。観客ゼロで演奏してるんだからね」
この時期のピンク・フロイドが、こんなにも愛される理由は何か?という質問には
「僕にとっては、この時期のフロイドの音楽にはまだ“サイケデリックな自由さ”が残っているってところが大きい。『狂気』以降はどんどん構成的・コンセプチュアルになっていくけど、この頃はまだ即興性が強く、空間が開かれている感じがあるんだ。そしてバンドはまだ小さな劇場で演奏して、お互いの顔が見える距離で“対話”できていた時代。この頃の演奏は、ポスト・シド期のサイケ要素と、次に向かう構造性、その両方が共存してる最高のバランスだったと思う。まだ世界的なスーパースターではなかったピンク・フロイド。この『ポンペイ』はどこか素朴さや初々しさが残っていて、それがこの作品の魅力のひとつにもなっている。バンドがぶつかり合いながらも前向きに音楽を作っているんだ」
最後に、今後もしピンク・フロイド作品をリミックスできるとすると何をやりたいか?という質問に対してこう答え、今後に期待を持たせてくれた。
「どれも興味あるけど、特に『夜明けの口笛吹き』、『神秘』、『原子心母』、そして『ウマグマ』なんかは最高だね。特に『ウマグマ』は、子どもの頃に“実験音楽”の世界へ導いてくれたアルバムで、個人的にものすごく大事な作品。『原子心母』なんかもサラウンドでミックスしたら面白そうだし、『おせっかい』だって・・・う~ん、選べない!(笑)」
『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』ニュー・ヴァージョンは、2CD、2LP、Blu-ray、DVD、デジタル・オーディオ、ドルビーアトモスのフォーマットで発売。Vinylとドルビーアトモスでのリリースは史上初となる。海外はそれぞれ単体の発売のみだが、日本では2CD+BDの3枚組限定セットが7インチ紙ジャケットでの日本特別仕様もリリースされている。2CDと2LPにはボーナストラックとして「ユージン、斧に気をつけろ」(オルタネイト・テイク)と「神秘」(未編集ヴァージョン)を収録。
<アナログLP>
●『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ(Vinyl)』
PINK FLOYD at POMPEII - MCMLXXII
2025/5/21発売
SIJP-219-20(2枚組LP) 6,600円(税込)
完全生産限定盤(輸入盤国内仕様) 見開きジャケット/特典ポスター封入/解説・歌詞・対訳付
<Side A>
1.ポンペイ・イントロ Pompeii Intro
2.エコーズ (Part 1) Echoes - Part 1
3.ユージン、斧に気をつけろ Careful With That Axe, Eugene
<Side B>
1.神秘 A Saucerful of Secrets
2.太陽賛歌 Set the Controls for the Heart of the Sun
<Side C>
1.吹けよ風、呼べよ嵐 One of These Days
2.マドモアゼル・ノブス Mademoiselle Nobs
3.エコーズ (Part 2) Echoes – Part 2
<Side D>
1.ユージン、斧に気をつけろ(オルタネイト・テイク)Careful With that Axe, Eugene - Alternate take
2.神秘(未編集ヴァージョン) A Saucerful of Secrets - Unedited