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ゴドレイ&クレーム「Cry」の制作秘話をケヴィン・ゴドレイ語る

2025/05/20 19:19掲載
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Godley & Creme - Cry
Godley & Creme - Cry
ゴドレイ&クレーム(Godley & Creme)のヒット曲「Cry」の制作秘話を、メンバーのケヴィン・ゴドレイ(Kevin Godley)が英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で振り返っています。プロデューサーのトレヴァー・ホーン(Trevor Horn)のチームが「僕らが卓球していたらサウンドの土台を作り上げていた」こと、そして、この曲は、歌う人の顔が次々と移り変わっていくミュージックビデオでも有名ですが、もともとは男女のスケート・シーンを撮影する予定だったことなどを語っています。

「ロル・クレームと僕は、10ccが最も成功していた時期に脱退した。物事がマンネリ化し始めていると感じたからね。僕たちは美術学校の出身で、視覚的な表現を重視していた。その時点で、すでに2人の映像作家がデビューを待っていたんだ。

僕たちがシングル“An Englishman in New York”のプロモーション用に短いビデオを作り、このメディアの素晴らしさに気づいた。スティーヴ・ストレンジのヴィサージのために“Fade to Grey”のビデオを作った後、デュラン・デュランやハービー・ハンコックのような人たちからビデオを作ってほしいと頼まれるようになった。

僕たちがニューヨークでポリスのコンサート映画を編集していた時、ホテルのバーでトレヴァー・ホーンと出会い、一緒に音楽を作ることにした。アメリカでのチャンネル・ホッピング(※チャンネルを次々と切り替える)をモチーフにした“Hit the Box”という曲のアイデアがあったんだけど、イギリスには3チャンネルしかなかったため、うまくいかないことに気づいた。そこで、15年前に書き始めた曲を思い出した。♪You don’t know how to ease my pain~という最初のヴァース(Aメロ)しかなかったけど、トレヴァーはそれを気に入ってくれた。

僕たちは常に自分たちでプロデュースしてきたけど、トレヴァーと彼の優秀なチームは、録音技術を革命的に変えていた。僕たちが20秒のバッキング・トラックとガイド・ヴォーカルを録音すると、彼らのマシンがそれを処理する間、卓球でもしてくるように言われた。戻ってくると、彼らはこの素晴らしいサウンドの土台を作り上げていた。ロルが素晴らしいコードをいくつか加え、僕には“4分間を埋めるために何か歌って”と言われた。歌詞は思考の流れによるものだけど、僕たちは何か特別なものができたと確信していた。

ビデオではトービルとディーン(ジェーン・トービルとクリストファー・ディーン、イギリスのアイスダンス選手で、金メダリスト)にスケートをして欲しかった! でも、2人のスケジュールが合わなかった。それで、キャスティングブックからたくさんの顔を選んで、みんなが“Cry”を歌っているところを撮影した。中にはリップシンク(口パク)できるって言ってたのにできなかった人もいたけれど、35mmの白黒で撮ったらすべてが素晴らしく見えた。まだモーフィング技術がなかった時代なので、“ワイプ”という効果を使って、ある顔が別の顔に溶け込むようにした。男性が女性になったり、パンクが老人になったりして、それまで存在しなかったものが生まれる、魔法みたいな感覚だった。もちろん、ロルと僕の顔も出てくる。このプランBが、結局、1980年代で最も話題になったビデオの一つになった。何年か後、(英オルタナティヴ・ロック・バンドの)エルボーが彼らの曲“Gentle Storm”のために“Cry”のビデオを再現してほしいと頼んできた。(ギター/ヴォーカルの)ガイ・ガーヴェイは、子供の頃にこのビデオが“衝撃的”だったと言っていたよ」

■ゴドレイ&クレーム「Cry」


■エルボー「Gentle Storm」