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英国政府がAI企業に有利になるように著作権法を改正する方針を変えないことにエルトン・ジョンが「政府は全くの無能」と激しく非難

2025/05/20 18:14掲載
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United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland: UK
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英国政府は著作権法を改正し、著作権者が除外を希望しない限り、AI企業は著作権で保護されたものを含む作品を許可なく使用してアルゴリズムをトレーニングできるようにする方針を変えず、上院の支持を得た修正案「AI企業がプログラム開発に利用する素材を公表するよう義務付ける」案を、今週、下院で拒否しました。これをエルトン・ジョン(Elton John)が「信じられないほど裏切られた」「政府は全くの無能」と激しく非難しています。

英BBC One の番組『Sunday with Laura Kuenssberg』の新しいインタビューの中で、エルトンは、政府が「若者から彼らのレガシーと収入を奪う」方向に向かっていると話し、「これは犯罪行為だと思う。政府は全くの無能であり、私はとても腹を立てています」と付け加えています。

エルトンは続けて、テクノロジー担当大臣のピーター・カイルを「ちょっとバカ」と表現し、政府が著作権に関する計画を変更しない場合、大臣たちを訴えると述べています。

今回の英国政府の著作権法の改正案は、ポール・マッカートニー、ケイト・ブッシュ、ジミー・ペイジらも反対の声をあげています。この改正案には、クリエイター側が自身の作品が使用されるのをブロックできる「オプトアウト」オプションが含まれていますが、これは不公平で実行不可能だとも批判されています。

クリエイター側の批判を受け、上院では、AI企業に対し著作権保護されたコンテンツの使用状況を公開することを義務付ける修正案が支持を得ましたが、政府は下院でこれを拒否しました。エルトンはこれを受けて「これは犯罪的だ。信じられないほど裏切られたと感じている」と話しており、エルトンは、もし大臣たちがAI企業にアーティストのコンテンツを無償で使用させる計画を進めるなら、それは「大規模な盗難、窃盗行為」になるとも話しています。

政府の報道官は、英国のクリエイティブ産業とAI企業の両方が「繁栄することを望んでいます。そのため、われわれは両方のセクターに役立つことを期待する一連の措置について協議しています」とコメントを発表しており、「クリエイターのためになると完全に納得」しない限り、著作権の変更は検討されないとも述べています。

現時点では、すべての関係者に受け入れられるような妥協案は、非常に遠い見通しのように思われます。