アルバム『No Angel』は現在においても、心の内側を吐露し、フレッシュな魅力を放ち続けています。人気ラッパー、エミネムが「Stan」(2000年)でサンプリング使用した「Thank You」(全英シングル3位/全米シングル3位)をはじめ、「Here With Me」(全英シングル4位)、「Hunter」といった代表曲はもちろん、アルバム全体を貫く純粋さこそが本作の強みです。生々しい感情を詰め込んだ優れたソングライティングと洗練された歌声が融合された彼女の作品は、キャロライン・ポラチェックなど後進のアーティストたちにも大きな影響を与えています。
ダイドは『No Angel』以後も、シングル「White Flag」を含む2ndアルバム『Life For Rent』(全英アルバム1位)を発表し、さらに2部門のブリット・アワードと2度目のアイヴァー・ノヴェロ賞を獲得。続く『Safe Trip Home』(2008年)、『Girl Who Got Away』(2013年)、『Still On My Mind』(2019年)はいずれも全英チャートでトップ5入りを果たしました。また、A・R・ラフマーンと共作した「If I Rise」(2010年)は、ダニー・ボイル監督の映画『127時間』に起用され、アカデミー賞・最優秀主題歌賞にノミネートされました。
2024年にはDimitri Vegas & Like Mike、Tiësto、W&Wとコラボレーションしたリミックス・バージョン「Thank You (Not So Bad)」がリリースされ、5億回以上のストリーミングを記録しています。オリジナル曲の熱狂的なファンである人気DJ、Dimitri Vegas & Like Mikeが「Thank You」を自分たちのイビサ島公演用に再解釈するということで始まったプロジェクトでしたが、ダイド本人が歌声を使用することを承諾したことで、数々のフェスティバルやスポーツイベントで流される世界的なアンセムとして浸透しました。
■『No Angel (25th Anniversary Edition) [1LP]』
A-1.Here With Me A-2.Hunter A-3.Don't Think of Me A-4.My Lover's Gone A-5.All You Want A-6.Thank You B-1.Honestly Ok B-2.Slide B-3.Isobel B-4.I'm No Angel B-5.My Life B-6.Take My Hand