ブーツィー・コリンズ(Bootsy Collins)の白い星形のスペースベース。1975年のオリジナル・ヴァージョンは77年に一度盗まれ、その翌年に見つかり戻ってきたという歴史があります。ブーツィーによると、犯人は誰も買ってくれなくてパニックになってフリーマーケットに持ち込んだという。誰も買わなかった理由をUltimate Guitarの新しいインタビューの中で語っています。
「とある人から聞いた話をしましょう。今でも“作り話”だったんじゃないかと思っているんだけどね。
何があったかというと、シカゴでのライヴが終わった後、僕のローディーがベースをホテルまで運んでくれることになっていた。その夜は、僕たちが先に会場を出たので、スペースベースを置いていくのがすごく嫌な感じがしたんだ。
(ベースをローディーに預けるというのは)マネージャーに、自分でベースを持ち運ばないように言われたからなんだ。自分で楽器を持ち運ぶのが当たり前だったから、それは僕にはかなり馬鹿げたことに聞こえたよ。ミュージシャンって、そういうものだからね。
でも、みんなが僕に期待していた、いわゆるスターのような存在になることに慣れようとしていた時期で、他の人にベースを預けるというのも、その一部だったんだ。“よし、やってみよう。でも、すごく変な感じがするな”という感じだった。だから、“荷造りが終わったら、すぐにホテルに持ってきてね”と言ったんだ。
それで、彼は、中にスペースベースが入っていると思っていたケースをホテルに持ってきた。僕は手に取った瞬間、“あれ、すごく軽いな”と思った。70ポンドから75ポンドくらいあるはずなんだ。それを一晩中持ち歩いて、ライヴをしているから、重さは分かっていた。
ケースを持ち上げて“本当にスペースベースが入っているの?”って感じだった。開けてみたら、スペースベースは入っていなかった。僕は狂ったように騒ぎ始めた。頭が真っ白になった。そして、冷静になる必要があった。どこにあるのか見つける必要があったからね。
誰も何が起こったのか知らなかった。誰がやったのかも分からなかった。約1年間どこにあるのか分からなかった。77年から78年まで。
僕は別のスペースベースを手に入れなければならなかった。最初のものを作ったラリー・プレスにまた作ってもらった、もう一つのオリジナルだ。そう、オリジナルを2つ持っている。77年ヴァージョンと75年ヴァージョン。新しいスペースベースを手に入れて、それを弾き始めた。
その時はオリジナルが戻ってくるなんて、まったく思ってなかったよ。ある男から、そのベースに関する情報を持っているという連絡があるまではね。僕は、それを取り戻すために報奨金を出した。
シカゴで何が起こったかというと、話によると、みんなそれがブーツィー・コリンズのベースだって知っていたため誰もそれを欲しがらなかったから、ある男がフリーマーケットにそれを持ち込んだんだ。そもそも、そのベースには『Bootsy』と書いてあったしね。みんながそれが僕のベースだって知ってたから、どこでも演奏したり売ったりすることはできなかったんだ。だから、パニックになってフリーマーケットに売った、あるいは彼にほとんどタダで譲ったとそうだよ。
それで、その男がそれを持ち帰った。僕が直接取り戻したわけじゃない。シカゴの人たちが取り戻してくれたんだ。1年後にね。同じ状態で、同じ弦が張られていた。
誰も触っていないようだった。それで、それからはライヴでまた使うようになった。77年ヴァージョンはバックアップとしてステージに用意してあった。実はバックアップが必要だったんだ。最初のオリジナルの時、持てたことに本当に興奮しすぎて、バックアップのことなんて考えてもいなかった。たぶん、そうなる運命だったんだろうね、あれは僕にとっても周りのクルーにとっても素晴らしい教訓になった。乗り切ることができたしね。どうやってかは分からないけど、取り戻せたんだ」