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クーラ・シェイカー「Govinda」 その誕生とレガシーについてクリスピアン・ミルズ語る

2025/05/06 19:50掲載
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Kula Shaker / K
Kula Shaker / K
クーラ・シェイカー(Kula Shaker)のデビューアルバム『K』(1996年)に収録されているライヴ・アンセム「Govinda」。その誕生とレガシーについてクリスピアン・ミルズ(Crispian Mills)が英ガーディアン紙の新しいインタビューの中で語っています。

「これは僕たちの曲ではない。古くからある曲だよ。僕が初めて聴いたのは子供の頃、クリシュナ寺院だった。僕が知るかぎり、ジョージ・ハリスン(George Harrison)がそれを最初に録音した人で、1971年のアルバム『The Radha Krsna Temple』の最後の曲だ(“Govinda Jai Jai”)。僕たちはロンドンのスイスコテージでバンドとして一緒に暮らしていて、そのアルバムはいつもかかっていたから、自然と体に染み付いていたんだよ。

僕たちが自分たちのヴァージョンを初めて演奏したのは1993年のグラストンベリー・フェスティバルだった。誰かのバンの後ろにこっそり乗り込んで、ハレー・クリシュナの無料食事テントのステージに無理やり上がったんだ。その場所が僕たちぴったりだったと思ったからね。ドローン・コードと中間部のチャントのアレンジは、その場でほぼ即興で生まれた。それから2年間、ライヴで毎晩演奏し続けて、ようやく正式なレコード契約を結べたんだ。

この曲は、何度演奏しても進化し続け、驚きを与えて続けてくれる曲の一つだよ。単なる曲ではないんだ。哲学や存在論、歴史が織り込まれた何千年もの伝統への扉であり、精神的な冒険の約束も内包しているんだ。

僕たちはこの曲の起源のおかげで、今もなお新たな発見がある。この曲は世界の一部なので、奉仕の心を持たなければならない。バンドも観客も同じくらい恩恵を受ける、そんな曲の一つなんだ。

歌詞についてだけど、サンスクリット語は“神の言語”と呼ばれることがある。ポップソングでそれを試さない理由がどこにあるのだろうか? ゴヴィンダ(Govinda)は神の“親密な”名前の一つで“喜びの泉”という意味だよ。全体として“Go”(「牛」を意味する)という接頭辞が付いた名前、例えばGopalやGovindaは、神聖な牛飼いの少年として牛を守り、魔法の笛を奏でて天の乳娘たちの心を奪うスリ・クリシュナの若き時代を称賛しているんだ。

(この曲は)ライヴではいつも反応があった。退屈な反応は一度もなかった。転機の一つは、デビューアルバム『K』のツアー中、ブラックバーンの満員の会場で2,500人の観客が酔いしれ、腕を上げてこの古代のスピリチュアルな民謡を歌った時だった。その時、僕はこう思った。“神よ、僕たちがこれをコントロールしているわけではない。これは独自の命を持っているんだ”とね。それは崇高さと滑稽さが完璧に奇跡的に融合したものであり、まさにポップミュージックのあるべき姿だったよ」

■Kula Shaker「Govinda」


■The Radha Krsna Temple「Govinda Jai Jai」
(Producer: George Harrison)