例えば“あのチビ野郎は自分のジェット機を持っているんだ!”とか、“あいつはチンパンジーみたいにボンゴを叩いてるぜ!”とか、“それじゃダメだ!”とか。彼の話し方はまさにそんな感じで、しかもニューヨークのアクセントで。頭の中でベルが鳴り響いたけど、ペンを持っていなかったので、ペンを借りて、紙を少し手に入れて、店のウィンドウディスプレイのところに座って、彼が言った通りの言葉を“Money for Nothing”の歌詞として書き始めたんだ。
この曲が生まれたのは、いくつもの幸運な出来事が重なったから。例えば、MTVでポリスが“I want my MTV”というフレーズを言っているのを見たことがあった。彼らには“Don’t Stand So Close to Me(邦題:高校教師)”という曲もあったので、そのメロディに“I want my MTV”を乗せて、曲の冒頭に組み込んだ。
モンセラートのエア・スタジオでアルバム『Brothers in Arms』をレコーディングしていたとき、“あのフレーズをスティングに歌ってもらえたら最高だな”と思っていた。僕たちは海の真ん中にある小さな島にいたのに、突然誰かが“スティングが休暇で来てるよ!ビーチにいる!”と言ったんだ。彼はスタジオにやって来て、入ってきたとき最初に言ったのが“どうしたの?”だった。僕は“どういう意味?”と聞くと、彼は“(ポリスとは違って)誰も喧嘩してないじゃないか…”と答えたよ。
“Brothers in Arms”は大ヒットした。多くの人がライヴを観たいと思っていた。ウェンブリー・スタジアムでライヴエイドに出演した後、僕たちは駐車場を駆け抜けてウェンブリー・アリーナに向かい、その夜の公演を行ったんだ。