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ジューダス・プリーストのリッチー・フォークナー 2021年の心臓手術後に脳卒中を起こし、ギター演奏に影響が出る後遺症が残っていることを公表

2025/04/05 07:27掲載
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Richie Faulkner
Richie Faulkner
ジューダス・プリースト(Judas Priest)のギタリストであるリッチー・フォークナー(Richie Faulkner)は2021年に緊急の心臓手術を受けましたが、その後に脳卒中を起こし、ギター演奏に影響が出る後遺症が残っていることを明らかにしています。

フォークナーは2021年、バンドのライヴ中に大動脈瘤破裂を起こし、10時間半の緊急手術を受けました。その後、バンド活動に復帰し、ツアーを続けていますが、Premier Guitarのの新しいインタビューの中で、心臓手術の直後に再び深刻な健康問題に見舞われたことを語っています。

「2022年にツアーに復帰して、それ以来、ずっとツアーを続けているようなものだけど、でも、ちょっとした二次的な被害があったんだ。 まあ、あまり多くの人は知らないことだけど、親しい人たちの中には知っている人もいる。

あの出来事から1か月ほど経った後、俺はまたここ(テネシー州ナッシュビルの郊外)に戻り、近所で犬の散歩をしていた。ガールフレンドのマライアは(娘の)デイジーを連れていた。

俺はそれが起こるのを感じた。それが俺を襲い、俺の顔は歪み、俺は喋れなくなった。マライアはそこにいた。彼女は犬を連れて、赤ちゃんを抱き、俺を支えてくれた。近所の人たちが駆け寄ってくれた。

その日、何が起こったのか? 今までそれを説明するのは気が進まなかったんだ。説明するのは難しいからね。

手短に言うと、俺たちは病院に行った。手術から1か月後のことだった。病院にはもう二度と行きたくなかった。病院なんてクソ食らえだ。 命は助けてもらったけど、1か月も入院していたから、もううんざりだった。でも、また病院に戻ることになった。医師たちは、一過性脳虚血発作(TIA/脳の血流が一時的に止まって神経症状が現れる病気)じゃないかと言っていた。つまり軽い脳卒中みたいなものだと言っていて、彼らはそうだと確信したみたいで、薬を処方された。後で分かったんだけど、それは(軽くない)通常の脳卒中だったんだ。

マライアは、病院へ向かう救急車の中で発作が起きたんじゃないかと思っている。でも、俺は覚えていない。何も覚えていないんだ。あの出来事の後に小さな発作が何度か起きたことは覚えている。トイレにいたとき、ぼんやりしてきて、倒れそうになった。あれはTIA、小さな発作だったんだと思う。病院では、そういう発作が起こると、大きな発作や通常の脳卒中が起きる危険性があると言われた。つまり、犬の散歩中にそれが起こったようなんだ。マライアが言うには、“あなたの顔は歪んでいて話せなかった”そうだ。まるで重りに引っ張られているようで、彼女が支えてくれなかったら、俺は倒れていただろう。そういうことが起こったんだ。

その時はそれで収まったけど、1年ほどしてまた同じことが起こった。また心臓手術を受けた。血液が漏れていたので、また開けて手術したんだ。

その後、俺は再びツアーに出て、すべてが順調だと思っていた。でも、右手に何か違和感があった。指輪のせいだと思った。なぜかその時、バカみたいな指輪をしてたからね。それで指輪を外した。でも、何かがおかしかった。ピックを変えてみた。何かが違っていた。弾くことはできたけど、右手に何か違和感があった。

ある朝、歯を磨いていて、“右手がおかしい、何かが違う”と思った。右足もだった。それでまた病院に行った。いくつか検査をしたところ、 左脳に損傷が見つかり、それが右側に影響していることが分った。幸いにも、足でギターを弾くことはないので、それは大丈夫。何とかなる。でも、手は明らかに、俺のエンジンルームだ。

そう言われて、ステージで感じていたことに関して、すべてがピタッとはまり始めた。何かがおかしかった。何かが邪魔をしていた。何かが正しくなかった。だから、さっき言ったように、さらに検査をして損傷が見つかったんだ。

その損傷が消えないということは、TIAではなく脳卒中だと言われた。TIAの損傷は消えることがある。脳卒中、それだけだ。損傷している、脳に損傷があるんだ。以前にも脳に損傷があるかもしれないと思っていたけれど、これは現実。左側に小さなものがある」

健康問題を公表しなかった理由について、彼は次のように述べています。

「俺の身近にいる業界関係者の何人かは知っている。俺としては、それが知られることへの大きな不安がある。俺は、ファンやギター会社、弦楽器会社から多くの信頼を得ていると思っている。彼らは俺を支援してくれている。彼らは俺に賭けてくれている。だから、誰にも知られたくない。知られたら、信頼を失い、離れていってしまうかもしれないから。

もう彼らにアピールできなくなるかもしれないし、ファンを失望させてしまうかもしれない。プリーストで演奏するとき、ステージに出るときは、いつも“今夜はどうなるだろう?”と考えている。ソロに関しては、ある程度は適応できるから、それほど問題ではない。問題はリズム。協調性のあるリズムパターンとか、そういったものは、しっかりと合わせなければいけない。プリーストのようなバンドでは、世界トップクラスの演奏をしなければならないと思っているが、自分は世界トップクラスだとは思っていない。毎晩ステージに立つたびに、自分が詐欺師のように感じていた。みんなに知られていないから、そう思うのかもしれない」

公表することにした理由について、こう話しています

「俺がそうしたいと思う理由は2つある。

まあ、そのことについて打ち明ける方が気が楽だからだ。世の中には、演奏したり、歌ったり、何かをする時に、自分には才能がないとか、自分にはそういう力はないと感じたりしている人がたくさんいると思う。だから、そういう人たちに“自分だけじゃないよ”ということを知ってほしいんだ。おそらく俺たちが思っている以上に多くの人々が、どこかで何かに悩んでいる。君は一人じゃないんだよ。

そしてもう一つの理由は、それを解放し、吐き出し、人々に伝えるためだった。

俺がツアーをするたびに、俺たちはステージ上で(その体験のために追加料金を払ったファンたちの前で)サウンドチェックを行うんだけど、そのファンたちはカメラがある場所に立っていて、すぐ目の前にいる。俺は、彼らが気づくんじゃないか、“Painkiller”をちゃんと演奏してないって言われるんじゃないかって思っている。繰り返しになるけど、何よりも重要なのはリズムなんだ。

それを解放して、もっと身近なものにすれば、真実は真実として受け入れられると思ったんだ。真実には反論できない。それが現実なんだ。今でも演奏しているし、アルバムも作っているし、全力で演奏している。それは変わらない。ただ、ちょっとしたことをしなければならないだけだ。でも毎晩ステージに立つたびに考えてしまう... 時々、ステージから降りてから家に電話をかけて“もう無理。できない。できない。できない”と言うこともある。以前は演奏できていた曲もある。以前は何かを考えれば、それが自然に出てきていた。

今はリズムパターンを演奏することに苦労している。“できない。無理だ。もうやめる。できない”ってね。うまくいく時もある。でも、そんなの誰が望むんだ? でもそれが現実なんだ。それが真実なんだ。だから俺はそれに苦労している。それが二次的な被害なんだ。

さっきも言ったように、俺はこれを公表しなければならない。そうすれば、人々は何が起こっているのかを知ることができる。もう隠す必要はないんだ。それはアクセルを緩める言い訳にはならない。それは俺の性分じゃない。ただ、人々に知ってもらいたいだけなんだ」