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元クラフトワークのヴォルフガング・フリューアがネット詐欺に遭い、ダフト・パンクのトーマ・バンガルテルを名乗る偽者にだまされてコラボ楽曲を制作

2025/04/01 09:31掲載
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Wolfgang Flür (Image credit: Markus Luigs)
Wolfgang Flür (Image credit: Markus Luigs)
クラフトワーク(Kraftwerk)ヴォルフガング・フリューア(Wolfgang Flür)がインターネット詐欺に遭い、ダフト・パンクのトーマ・バンガルテルを名乗る偽者にだまされて楽曲をコラボレーションしたと伝えられています。

クラフトワークで1973年から1987年まで電子パーカッションを担当したフリューアは3月にソロ・アルバム『Times』をリリースしました。このアルバムには、元ダフト・パンク(Daft Punk)トーマ・バンガルテル(Thomas Bangalter)が参加していると言われていましたが、実際にはバンガルテルとはまったく関係がない人物で、フリューアにバンガルテルと音楽制作をしていると信じ込ませた偽者とコラボレーションしたと伝えられています。

サイト「The Daft Blog」を運営し、ダフト・パンクに関するニュースを発信しているダフト・パンクのアーキビストは3月30日に「ダフト・パンクの代理人がバンガルテルは実際にはフリューアとコラボレーションしていない」と発表し、これまでの経緯をThe Daft Blogで説明しています。

フリューアがバンガルテルとのコラボレーションについて公の場で発言したのは2023年2月のBlitzed Magazineのインタビューが最初でした。フリューアと彼の音楽パートナーであるPeter Duggalは、トーマ・バンガルテルと名乗る人物からFacebookで賛辞のメッセージを受け取ったことがあると語っています。フリューアは当初、その名前に気づきませんでしたが、バンガルテルがダフト・パンクのメンバーの1人であることが分かると、コラボレーションをしないかと彼に持ちかけたそうです。その後、Duggalはインタビューの写真をツイートし、「トーマ・バンガルテルとのコラボレーションからクールなものが生まれている」とも投稿していました。

しかし、ダフト・パンクの2人はソーシャルメディアにあまり積極的でなく、また、たとえ彼らがそうであったとしても、バンガルテルは、アーティスト仲間に感謝の気持ちを伝えるのにFacebookのメッセージを使うようなタイプには見えません。 Duggalは数日後、このコラボレーションに関するこのツイートを削除しました。そのため、このプロジェクトが単に立ち消えになったか、あるいはミュージシャンたちが早とちりして発表してしまっただけではないかと考えた人もいました。

しかし、2024年1月、フリューアは別のインタビューで、翌年9月にアルバムをリリースする予定であり、そのアルバムにはバンガルテルも参加していると語りました。その後、フリューアの新しいアルバム『Times』の発売日が2025年3月28日に確定し、発売元のCherry Red Recordsのウェブサイトで、このアルバムの公式トラックリストが初めて公開されました。

トラックリストにはトーマ・バンガルテルの名前は載っていませんでしたが、2曲に「Thomas Vangarde」という人物のゲスト参加がありました。「ヴァンギャルド」はバンガルテルの父親(ダニエル・バンガルテル)が匿名性を保つために使っていた芸名(ダニエル・ヴァンギャルド)であり、ダフト・パンク解散後のバンガルテルが同じように芸名を使う可能性は十分に考えられました。

その後、フリューアは、ダフト・パンク本『Daft Punk’s Discovery』の著者である音楽ジャーナリスト、ベン・カーデューが行ったインタビューの中で、こう発言しました。

「彼はSNSでメッセージを送ってくれた。彼はちょうど(フリューアが2022年に発表したソロ・アルバム)『Magazine 1』を聴いたばかりで、“とても素晴らしい。サイン入りのアルバムを貰えないでしょうか?僕はアルバムを集めていますが、あなたの直筆サイン入りがほしいのです。僕たちはあなたたちが大好きです。クラフトワークがいなければ、僕たちは自分たちのロボットスタイルを見つけられなかったでしょう。ヘルメットをかぶってステージに立つことも。僕はヴォルフガングが大好きです。どうか、アルバムを送ってもらえませんか?”と書いていた。

その後、私は彼に“宇宙をテーマにした曲を作っているので、ぜひ参加してもらえませんか?”と尋ねた。すると彼は“僕も宇宙ファンなんです。すでにアイデアがあります。ヴォルフガングさん、使えませんか?”“2日待ってください。何か見つかるはずです。何か新しいものをやるわけじゃない。きっと使えるものがあるはずです”と答えた。それで彼が送ってくれたものがあったんだけど、それはキーにあまり合っていなかったので、キーを変えて、テンポを少し修正した。それは、ピーター・フックのベースラインと組み合わせた中間部分では、とてもとても使えるものだった。とてもよく合っていたよ」

そして発売日がやってきました。その翌日、公式Daft Punk Discordチャンネルのオーナー(ダフト・パンクのチームへの主要な連絡先として広く認識されている)は、「Thomas Vangarde」はバンガルテルではなく、本物のバンガルテルはこのプロジェクトに全く関与していないと発表しました。本物のバンガルテルはここ数年、音楽プロジェクトに取り組んでいますが、フリューアとのコラボレーションはそれには含まれていません。

「Thomas Vangarde」は、「Monday To The Moon」と「Über_All」の2曲にクレジットされています。