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再結成したヘアカット100、友情を取り戻し再結成した経緯や40年以上ぶりの新アルバムの制作について語る

2025/03/26 17:29掲載
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Haircut One Hundred
Haircut One Hundred
再結成した、英国のニューウェイヴバンド、ヘアカット100(ヘアカット・ワンハンドレッド/Haircut One Hundred)。Classic Pop Magazineの最近のインタビューの中で、再結成の経緯や、40年以上ぶりの新スタジオ・アルバムについて語っています。

1980年代初期にニック・ヘイワード(Nick Heyward)を中心に結成されたヘアカット100。1982年には、「Love Plus One」、「Favourite Shirt (Boy Meets Girl)」、「Fantastic Day」といったヒット曲を含んだデビューアルバム『Pelican West』をリリースしました。

セカンドアルバム『Paint And Paint』のレコーディング中、バンドからフロントマンだったヘイワードが脱退。アルバムは1984年にリリースされますが、商業的に振るわず、1984年にバンドは一旦解散しました。その後、何度かの再結成を経て、2023年から再び活動を再開。それ以来、英国と米国をツアーし、グラストンベリー・フェスにも出演し、42年ぶりのシングルをリリースし、現在は新しいスタジオアルバムの制作に取り組んでいます。スタジオ・アルバムのリリースは1984年の『Paint And Paint』以来。現在までのところ、新アルバムのリリース日などの詳細はまだ発表されていません。

ニック・ヘイワード (ボーカル、ギター)
「この年齢になった今、もっともっと長く続けていきたいと思っている。僕たちは友情を取り戻したからね」

レス・ネムス (ベース)
「(同意を示してうなずき)今朝、彼からWhatsAppメッセージが届いたんだけど、“また友達に戻れて、好きなことを一緒にできるなんて本当に嬉しいね”と書いてあったよ。

もし1年前に“こんな日が来ると思う?”と尋ねられたら、僕は“絶対にない”と答えていただろうね。僕たちは10年間も口をきいていなかったんだ。でも、まるで昨日のことのようにすぐに(友情を)取り戻したんだよ」

ヘイワード
「それこそが真の友情ってやつだよね。本当の仲間同士には時間なんて関係ないんだ」

長い間、ニック・ヘイワード、レス・ネムス、グラハム・ジョーンズの3人は仲間ではありませんでした。ヘイワードは1983年に脱退し、バンドは1984年に解散しました。それ以来数十年間、時折の再結成はあったものの、ステージ上の休戦はステージ外での関係にはつながりませんでした。

では、何が変わったのでしょうか?

ヘイワード
「まあ、過去にこだわっているメンバーがまだ数人いるからだ」

今回の再結成には、フィル・スミス (サックス)、マーク・フォックス (パーカッション)は復帰していませんが、ブレアー・カニンガム (ドラム)は準メンバーとして参加しています。

ヘイワード
「彼らには話したくない問題がある。でも、残りのメンバーは前に進んでいるよ」

ネムス
「ニックには“過去に何があったかなんて気にしない”と伝えた。それは過ぎ去ったことだし、未来はここにはない。だから重要なのは今だけなんだ」

ヘイワード
「すべて消え去ったよね。話し合う必要があると思っていたことは、すぐに消えてしまった。それ以来、毎日がボーナスのようなものだよ」

今回の再結成は当初、デビューアルバム『Pelican West』の40周年を記念してロンドンのシェパーズ・ブッシュ・エンパイアで行うライヴのためでした。

ヘイワード
「再結成ライヴは感動的なものになるだろうとは思っていたけど、ライヴを重ねるごとに、より感動的になっている。まるで発電機や自転車のようなもので、回すほどにスピードとエネルギーが増していくんだ」。

ネムス
「おかしいのは、僕らは何も準備していなかったのに、すべてが僕らの元にやってきたことなんだ。まるで宇宙が“よし、すべてを手配してやるから、君たちはただ来るだけでいい”と言っているようだった。それ以来、僕らはただ来るだけを続けてきたんだ」

ヘイワード
「宇宙は素晴らしい手配人だ。僕は自分の葬式の手配を宇宙に頼んでおいたよ...」

実際は、9月にすい臓がんで亡くなった音楽プロモーターのメルヴィン・タウブの功績でした。

ネムス
「メルヴィンがいなかったら、何も起こらなかっただろう。彼はすべてを手配し、すべてを推し進めてくれた」

ヘイワード
「彼とは僕が若い頃に知り合った。パワーポップとポップファンクの生涯のファンで、僕たちを復帰させるのが彼の夢だった。(目を潤ませながら)素敵な人だった。彼はまさに宇宙そのものだ」

バンドは現在、新作アルバムの制作に本腰を入れています。2024年8月下旬、彼らは先行シングル「The Unloving Plum」をリリースしました。他にどれくらいのアイデアがあるのでしょうか。

ネムス
「8曲ほど候補曲がある。それから、さらに2、3曲探すつもりだよ」

ネムスは、バンドの初期のポストパンク、トーキング・ヘッズの影響を受けた頃に戻りたいと思っていたという。

ネムス
「そこに戻りたいと思っていた。ブラスなしで、3人だけで立ち返り、とても生っぽいものにしたかった。でも、僕が想像していたほどには、その方向には進んでいない。ブラスもパーカッションもあるし…」

ヘイワード
「ファンキーな曲もあるよ。“Vanishing Point”という曲があるんだけど、70年代のテレビ番組『The Streets Of San Francisco』のテーマ曲とジェームス・ブラウンを足して2で割ったような感じなんだ。逃走車の曲みたいな感じかな。そして“Dynamite”は、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのような、ファンキーなディスコ・ビッグ・チューンだよ」

現在候補に残っているもう1曲「Mudlarks」は、再びアルバム『Pelican West』の地理的な場所に戻るという。

ヘイワード
「これは、かつて人々がたむろしていた(イースト・ロンドンの)ペリカン・ステアーズについての曲だよ。バンドにとって非常に重要な場所なんだ」

アルバム制作は変わり、レコード会社が気前よく資金を提供していた時代は遠い昔の話です。

ヘイワード
「コツは、とにかくスタジオに顔を出してリハーサルやレコーディングを続けること。僕たちは金持ちじゃないからね。予算はない。この一年、ほとんど無報酬で働いてきた。純粋な愛からやっているんだ」

本音を言えば、もっと早く再結成をしていればよかったと思っているのでしょうか?

ネムス
「数ヶ月前、ニックが“なぜ42年間もこうしていなかったんだろう? こんなにも素晴らしいのに、なぜやめてしまったんだろう”と言っていた。後悔という言葉は強すぎると思う。でも、多少の失望感はあるかもしれないね」

ヘイワード
「(肩をすくめて)どうすることもできない。もし活動を続けていたとしても、今のような素晴らしい友情が築けていたかどうか疑問に思うしね」

ヘイワードは、もしもっと早くにバンドを再結成していたら、自分たちがこれほど英雄として迎え入れられたかどうかはわからないと述べています。

ヘイワード
「バンドにはライフサイクルがある。最初の成功から10年、あるいは20年は、あまりクールなものではない。レコード契約がなければ、存在しないのと同じだった時代もあった。それに、もし20年前にこれをやっていたら、少しばかり傲慢になっていたかもしれない。でも、年を重ねるにつれ、自己中心的な面は消えていくものだ。世間から忘れ去られると、かえって生きている実感が湧いてくるものだ。時には、欲しいものを手に入れるためには、それを手放さなければならない。そして今、僕たちはそれを手に入れ、それを愛している。ここまで来るのは容易ではなかったが、今、ここにいる。それはただ…素晴らしい」

以下は「The Unloving Plum」のミュージックビデオ