映画音楽の巨匠
ハンス・ジマー(Hans Zimmer)は、舞台ではあがってしまうため、初コンサートの前は苦しんでいたという。あがり症をどうにかしたいと思ったジマーを救ったのは
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)からの電話でした。リック・ベアートの最近のインタビューの中で振り返っています。
「初公演の直前にポール・マッカートニーから電話があって、一緒に仕事をしないかと誘われました。
私はこう言いました。“この公演をやりたいし、自分のバンドと一緒に演奏したい。でも、私は極度のあがり症なんです。だから、断れないようなプロジェクトを提示してくれたことで、あなたは私を救ってくれたのかもしれません”。
すると彼はこう言いました。“あがり症か。僕もひどいあがり症だったよ”」
ポールはさらに、3年間ライヴを行わなかった後、パリでコンサートを行った際に、大きな不安を感じたけれど、観客のおかげで、それを乗り切ることができたと明かしたという。ジマーはこう続けています。
「どの曲だったかは覚えていませんが、彼は2番目のヴァース(Aメロ)を演奏すべきところをブリッジ(サビに繋ぐ部分)を演奏していたそうです。
彼は自分のバンドなら自分のミスに気づいているから、その後は、サビに行くのではなく、本来であればブリッジだったところではブリッジに行くはずだと思っていました。しかし、実際は、そうはならずに、彼らはサビに行ってしまいました。
それで彼は“ストップ、ストップ、ストップ、ストップ、ストップ”と言いました。すると観客は大騒ぎし、みんながそれを気に入りました。その後、(ビートルズの友人でもあるイギリスの歌手でテレビ司会者の)シラ・ブラックが彼にこう言ったそうです。“ポール、素晴らしかったわ。毎晩あれをやっているの?”と」
結局のところ、ポールが「あがり症」について語った知恵とは何だったのでしょうか? ジマーはこう語っています。
「彼は、こう言って助けてくれました。“彼ら(観客)は君の味方だ。彼らに話しかけて、自分の弱さをさらけ出せ。ありのままの自分を見せるんだ”と。あれは私がもらった最高のアドバイスだったと思いますし、良いアドバイスをもらうには悪くない相手だったと思います」