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マライア・キャリー 「恋人たちのクリスマス」をめぐる著作権侵害訴訟で勝訴 類似点は昔から使用されている「クリスマスソングのありふれたフレーズ」

2025/03/21 13:11掲載
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Mariah Carey / All I Want For Christmas Is You
Mariah Carey / All I Want For Christmas Is You
マライア・キャリー(Mariah Carey)は、1994年のクリスマス定番曲「All I Want for Christmas Is You(邦題:恋人たちのクリスマス)」をめぐる著作権侵害訴訟で勝訴。1989年の同名カントリーソングを盗用したとする訴えについて、ロサンゼルス裁判所のモニカ・アルマンディ判事は、専門家による証言を引用し、主張されている類似点は、この2曲が発表される前から使用されていた「クリスマスソングのありふれたフレーズ」を共有しているだけだと述べ、盗用したことを証明する十分な証拠がないため、訴えを却下しています。

1989年に同名の曲「All I Want for Christmas Is You」を発表したソングライター、アンディ・ストーン(aka ビンス・ヴァンス)と、共同作曲者のトロイ・パワーズは2023年11月に最初に提訴し、キャリーに対して「著作権侵害および不当利得」を主張し、2人は2,000万ドルの損害賠償を求めていました。

PEOPLEが入手した裁判所文書によると、キャリーのヴァージョンの曲は、ストーンの曲の「構成構造」を模倣していると主張していました。

3月19日の判決文によると、「当事者の主張を裏付ける証拠が欠如している」ため、キャリーが盗用したという主張は認められませんでした。

2曲の歌詞の分析を行った音楽学者でニューヨーク大学音楽学部教授、および音楽・舞台芸術学部の名誉学部長であるローレンス・フェラーラ博士は、2つの楽曲の間には「重要な旋律上の類似性は認められない」と証言しています。さらに、ストーンの楽曲よりも前に発表された「少なくとも19曲」の歌詞に類似したアイデアがあることを発見したとも述べ、そのうちのいくつかは「All I Want For Christmas Is You」というタイトルでもあったため、「All I want for Christmas is you」というフレーズはストーンのオリジナルではない、とも述べています。

フェラーラ博士は、両曲の歌詞の類似点は「断片的なもので、異なる歌詞のフレーズが使われ、異なるアレンジが施され、それは一般的に使用されている」と結論づけました。フェラーラ博士はまた、「この2つヴァージョンは、全体的に非常に異なる楽曲であり、類似している唯一の要素は、ストーンが楽曲を発表する以前から一般的に使用されていた、共通の歌詞のアイデアとクリスマスソングの決まり文句が使われているという点だけです」とも指摘しています。

この2曲は、メロディー、ハーモニー、リズム、歌詞が十分に異なっているため、著作権侵害には当たらないと判断されました。

アルマンディ判事は、ストーンと弁護士が「曖昧…かつ事実の主張と結論、主観的な意見、その他の無関係な証拠が混ざった」「軽薄な」申し立てを行ったとして、制裁措置を科すべきであるとの判断を示しました。判事は、ストーンと弁護士に対し、この訴訟の弁護でキャリーが負担した弁護士費用を支払うよう命じています。