バングルス(The Bangles)は1989年秋、「Eternal Flame(邦題:胸いっぱいの愛)」が世界中のチャートで1位を獲得してからわずか6か月後に解散しました。解散した理由は議論の的となってきましたが、メンバーの
スザンナ・ホフス(Susanna Hoffs)、
デビー・ピーターソン(Debbi Peterson)、
ヴィッキー・ピーターソン(Vicki Peterson)は英インデペンデント紙の新しいインタビューの中で、その理由について改めて語っています。
1988年にリリースされた『Everything』は、商業的に絶頂期にあったバングルスの最後のアルバムとなり、各メンバーがそれぞれ自分の曲を自分のプロデューサーと制作した作品でした。
レーベル側は、ホフスのラジオ受けしやすい楽曲を好み、その中には「Eternal Flame」や「In Your Room」などが含まれていました。しかし、これがさらなる不和を招くこととなりました。
ヴィッキーは今は「Eternal Flame」を称賛していますが、当時は問題があったことを認めています。「私はひどく反抗的だった。バングルスは私たちが始めたロック・バンドだと決めつけていた。だから、あからさまにポップなことをするのは…(私の中に)抵抗があった」
バングルスはアルバム『Everything』のツアーを行いましたが、4人のメンバー間の軋轢は大きくなりすぎていました。マネージメントはホフスとイケル・スティールにソロ契約の可能性をちらつかせ、バンド全体は過労で不満を抱え、コミュニケーションも取れない状態でした。
デビーはこう話しています。
「もし私たちがボーイズバンドだったら、殴り合っていたでしょうね(笑)。でも、私たちは問題と向き合おうとしなかった。マイケル・スティールが本当に怒って、楽屋に椅子を投げつけたこともありました。そういうエピソードもありましたが、基本的には何もありませんでした。私たちはただ口をきかなかっただけ。話すべきだったのにね」
ヴィッキーはこう付け加えます。
「バンドではコミュニケーションがとても重要です。バンドが一体となって話し合わないと、バンドは分裂してしまう。そうなると、当然、多くの人が割って入って分裂と征服に参入し始める。それが最終的に私たちに起こったことなのです」
マネージメントの要請により、バンドの将来について話し合う会議が1989年に開かれ、ホフスとスティールはバングルスとして前進することはできないと告げます。デビーとヴィッキーは裏切られたと感じたという。「想像できる中で最悪の別れでした」とデビーは振り返っています。
メンバーがお互いに再び話し合うようになるまでには何年かかりました。ホフスの夫で、オースティン・パワーズ』シリーズの映画製作者であるジェイ・ローチの強い希望により、1999年にバングルスは再結成され、『オースティン・パワーズ:デラックス』のサウンドトラック用に1曲を録音しました。その後、ツアーを行い、2003年には再結成アルバム『Doll Revolution』を制作しました。その後もツアーを続け、スティールが脱退し(彼女はその後、公の場から引退した)、メンバーは別々の道を歩み始めました。
現在、メンバーたちは自分たちの歴史について楽観的であり、たとえ振り返るのが辛い時期もあったとしても、今はスポットライトを浴びた時期に感謝しているという。
ヴィッキーはこう話しています。
「私はバンドメンバーに対して、とても深く、変わらぬ愛情を持っている。何度もみんなを殺してしまいたいと思ったこともあったけれども、私はみんなのことが大好きなのよ。
ここ10年から15年は、バングルスに対する評価は表面的なものになってしまった。
ヒット曲は今でも愛されているけれど、バンドや私たちのストーリー、あるいは私たちが大きな流れの中でどう位置づけられるかということまで必ずしも理解されているわけではない。もし誰かが1980年代の音楽界で何が起こっていたのかを知りたいと思っているなら、バングルスもそのストーリーの一部として取り上げてほしい。私たちはそれに値すると思う。私たちは、そのような敬意を払われたことがないと思う」
またホフスは目を潤ませながら「私はその年月にとても感謝しています」と話しています。彼女は、ピーターソン姉妹と初めて会ったときの気持ちを今でも覚えているという。3人でジェファーソン・エアプレインの「White Rabbit」を一緒に歌ったそうで、「その瞬間、自分の人生で何か大きなことが起こったと思いました」と話しています。そして、ホフスは最後にこう話しています。「何が起こるのかまったく想像もつかなかったのに、本当に起きたのよ。魔法のような、奇跡のような出来事でした」