
Bonnie Raitt Photo by Susan Weiand
還暦をはるかに過ぎてもロックし続けるベテランたち。英ガーディアン紙では、
ボニー・レイットを(Bonnie Raitt)中心に、現在も現役でツアーを続ける大御所たちを特集しています。
トップスターたちは、お金が必要だからという理由ではなく、それが自分たちの精神に根ざしており、需要があるからこそ、パフォーマンスを続けているという。
イエスなどで知られるリック・ウェイクマン (75歳)は「50歳になったら引退するつもりだといつも言っていたけどね(笑)。(ツアーは)まるで麻薬のようなものだよ。一度その魅力に取りつかれると、もう抜け出せない」と言い、ホリーズやクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのグラハム・ナッシュ (83歳)は「(ツアーをやるのは)音楽への情熱であり、観客の前で新曲を演奏することから得られるエネルギーのため。何百回と歌ってきた曲であっても、書いた時と同じ情熱を持って歌うつもりだよ」と話しています。
ボニー・レイット(75歳)はこう話しています、
「これほど楽しいことはない。私が活動を始めた頃、私のヒーローは70代、80代まで現役で活躍するジャズやブルース、クラシックのミュージシャンたちだった。ツアーはまるで、旅するサマーキャンプのようなもの。毎晩、観客とパーティーをすることができるのだから」
レイットは、父親が『オクラホマ!』などのミュージカルで歌ったときに観客が熱狂しているのを観て、「私たち家族は誰も、これが父の仕事だなんて信じられなかった。それに夢中になって、ジェームス・テイラーやマディ・ウォーターズのオープニングアクトを務めるようになってからは、もう後戻りはできなくなっていたのよ」
年配のアーティストにとって、快適さは贅沢品ではなく、不可欠なものであるという。レイットは「(昔のように)バンで走り回って、機材を積み込んで、まともなホテルや食事も取れないなんて嫌。大事なのは自分のペースを保つこと」と話しています。
レイットは過去4年間ツアーを続けており、12か月のうち5か月はツアーに出ています。ライヴの日には、声を休めるためにテキストメッセージやEメールを使用して、人と話さないようにしているという。また健康維持にも務めており、日々、ヨガやウェイトトレーニング、ハイキングをし、ツアーには自転車を持ち込んで楽しんでいるという。
伝統的なロックンロールのライフスタイルに「すっかりはまってしまった」経験を持つレイットですが、30代にもなると変わってくると話しています。
「30代にもなると、夜更かしして飲んだり、ドラッグをやったり、寝ないでいることは、あまり良いことではなくなる。気がつくと、肝臓がやられていたり、風邪が治らなかったり、声が出なくなったり、意味のないことを口走ったり、ステージでだらしなくなったりするようになってくるのよ」
1987年のスキー事故の後、手術のため2ヶ月間休まなければならなくなった彼女は、プリンスとのビデオ撮影に備えて、この機会に禁酒し、ダイエットをして減量しました。
「一番大きな変化は、ライヴの後に一晩中パーティーをしなくなったことだったけれど、それが思わぬ幸運をもたらした。それから、ドラッグを断った他のミュージシャンたちが、以前にも増して素晴らしい演奏や歌を披露しているのを見て、自分にとっての最後の言い訳は消え去ったのよ」
レイットは近年、喉頭炎や「消耗」を理由に公演を延期せざるを得なかったことがありましたが、彼女の年上のミュージシャン仲間たちは「誰が膝の手術をしたとか、誰が腱鞘炎になったとか、そんな冗談を言っている」という。「どの街にも訪れたい好きな公園があり、会いたい友人がいる。1970年代に私を見てくれた人たちが、今も私に会いに来てくれている」と付け加えています。
レイットは、今でも「最高」であることを証明したいと思っており、「ペースは落とさないし、できなくなるまでやめるつもりはない」と主張しています。
そして、最後にこう話しています。
「自分が好きなことを見つけたら、それをやり続けることよ」