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書籍『ライブミュージックの社会学』発売

2025/02/28 22:01掲載
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ライブミュージックの社会学
ライブミュージックの社会学
ライブミュージックをめぐる多角的な考察を通して、日本そして世界を覆う音楽文化の現在地を活写する。書籍『ライブミュージックの社会学』が青弓社から3月14日発売。ライブ文化を構成するミクロな諸側面を検証し、その魅力のありかを探求する。
■『ライブミュージックの社会学』
南田勝也(編著)

A5判  248ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3553-4 C0036

書店発売予定日 2025年03月14日

<内容>

コロナ禍での停滞を経てもなお、ライブミュージックは音楽文化や流行を力強く牽引し、現代社会のポピュラー音楽シーンでの存在感をますます増している。ライブミュージックをめぐる多角的な考察を通して、日本そして世界を覆う音楽文化の現在地を活写する。

<解説>
レコードやCDをはじめとした記録媒体やネット配信のサブスクリプションなどのスタティックなメディアを超え出て、文字どおり“ライブ”な感覚をもたらし私たちをダイナミックに魅了する、唯一無二の音楽体験であるライブミュージック。
コロナ禍での混乱・停滞を経てもなお、ライブミュージックは先進諸国の音楽文化や流行を力強く牽引し、現代社会のポピュラー音楽シーンでの存在感をますます強めている。

なぜ私たちはライブ体験に駆り立てられるのか?
クラシック音楽コンサートの歴史やサウンドシステム(PA)の発展と確立、ロックコンサートのステージ演出の変遷、ライブ産業の現状などのマクロな側面を見渡したうえで、地方都市の小さなライブハウス、初音ミクなどのバーチャルアイドル、コロナ禍に本格化した配信ライブ、K-POPのファンダム、そして推し活など、ライブ文化を構成するミクロな諸側面を検証し、その魅力のありかを探求する。

ライブミュージックをめぐる多角的な考察を通して、日本そして世界を覆う音楽文化の現在地を活写する試み。

<目次>
序 ライブミュージックの現況 南田勝也

第1部 ライブ文化の形成と展開

第1章 コンサート・パフォーマンスの歴史――クラシック音楽とポピュラー音楽の身体 宮本直美
 1 コンサートの成立と展開
 2 器楽の評価と「クラシック」音楽
 3 沈黙する聴衆と身体抑制
 4 ポピュラーなコンサート
 5 ヴィルトゥオーゾへの熱狂――リストマニア
 6 クラシックとポピュラー音楽をつなぐヴィルトゥオーゾコンサート

第2章 PA実践の文化史――循環器としてのサウンドシステムが生む「ライブ」な交歓 忠 聡太
 1 二十世紀前半の電気的な補強
 2 音量のさらなる補強と再帰的な回路の構築
 3 シェイ=武道館史観を批判する

第3章 ライブパフォーマンスの半世紀――聴く/視るの二軸をもとに 南田勝也
 1 デヴィッド・ボウイの挑戦
 2 視ることが優先され、派手なパフォーマンスが繰り広げられた時代
 3 同時代に日本では
 4 化身や派手なパフォーマンスから撤退した時代
 5 時代の転換を見据えて

第4章 巨大化するライブ産業――アメリカのライブ・フェスの現状 永井純一/山添南海子
 1 巨大化する公演
 2 「ライブミュージック」の台頭
 3 パール・ジャムによる問題提起
 4 コンサートの制度化と巨大化するプロモーター
 5 ライブネーションによる水平統合
 6 AEGによる垂直統合

第2部 それぞれの現場

第5章 ライブハウス店長の生活史――二〇一〇年代以降の「オルタナティブ」な場所作り 生井達也
 1 「生」としてのミュージッキング
 2 調査の概要
 3 GLM店長のライフヒストリー
 4 GLMの運営と店長の役割
 5 地域との関わり

第6章 K―POPライブとファン――世代交代による進化と越境 吉光正絵
 1 K―POPライブの現状
 2 K―POPライブの特徴と変遷
 3 日本の女性ファンが体験したK―POPライブの魅力
 4 K―POPライブの行く末

第7章 3DCGライブの行方――初音ミクから考える音楽公演 南田勝也/木島由晶/永井純一/平石貴士
 1 そこにいるはずがない人物に熱狂する観衆について
 2 初音ミクのライブの何が新しかったのか
 3 3DCGライブは現実を代替するか

第8章 推し活への唯物論的アプローチ――場所・モノから考える推し活のいま 阿部真大
 1 推し活と場所――集合沸騰としての推し活
 2 推し活とモノ――ファンが作る(使う)モノ/モノが作るファン

第9章 配信ライブの快楽と不満――メディアを介したライブ体験の行方 木島由晶
 1 配信ライブとパンデミック
 2 配信ライブの本格化
 3 配信ライブの利用と満足
 4 配信ライブの行方

終 章 ライブが存在感を増した社会背景――メディア、社会意識、共同体 南田勝也
 1 レコーディング音源からライブ音像へ
 2 コンサートからライブへ
 3 「音楽になる」体験

<著者プロフィル>

南田勝也(ミナミダ カツヤ)
1967年、兵庫県生まれ。武蔵大学社会学部教授。専攻は音楽社会学、文化社会学。著書に『オルタナティブロックの社会学』(花伝社)、『ロックミュージックの社会学』(青弓社)、編著に『私たちは洋楽とどう向き合ってきたのか』(花伝社)、共編著に『音楽化社会の現在』(新曜社)、『メディア社会論』(有斐閣)など。