HOME > ニュース >

ブルース・キューリック、キッス時代の最高のライヴは88年武道館公演、最悪なのは同年ベルファスト公演

2025/02/26 19:32掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Bruce Kulick
Bruce Kulick
キッス(KISS)ブルース・キューリック(Bruce Kulick)にとって、キッス時代の最高のライヴは1988年の日本武道館公演、最悪なのは同年の北アイルランド・ベルファスト公演だという。米Guitar Playerの新しいインタビューの中で、それぞれの公演を振り返っています。

■キッスの最高のライヴ

「俺はニューヨークで育ち、マディソン・スクエア・ガーデンで数多くの有名なパフォーマーを見てきたからか、ニューヨークでのライヴは俺にとって、どちらかというと地元のヒーローのような雰囲気だった。家族や友人に“今の俺を見てくれ”という感じだったんだよ。

だから、キッスの最高のライヴを考えると、それはとても遠い場所、太平洋の向こう側に行き着くことになる。1988年のCrazy Nightsツアー中、キッスは日本を訪れた。バンドが歌舞伎メイクなしで日本に行くのは初めてだった。とても興奮していたし、アメリカ国外に出るのも初めてだった。日本の文化、特に日本のエレクトロニクス製品に魅了されていた俺は、いつも日本を意識していた。ソニーのウォークマン、パナソニックのラジカセ、ラファイエットのステレオ、そして特に日本が本拠地であるESPギターが大好きだった。

東京で最も有名な会場は日本武道館だ。この会場は、1964年の東京オリンピックの柔道競技会場して建設された。1966年にはビートルズがここで演奏したが、より象徴的なのは、1978年に米国でリリースされたチープ・トリックの素晴らしいライヴ・アルバム『At Budokan』の会場となったこと。だから、武道館という名前は、いつかここで演奏したい場所として、俺の脳裏に永遠に刻み込まれていたんだ。

1988年4月22日に俺たちがそこで演奏した時、日本のファンは熱狂を抑えるように訓練されているかのようにキッスへの愛を示してくれた。このコンサートは日本最高の放送局であるNHKによってプロの技術で撮影されていたことを知って、俺はその夜のコンサートを追体験する機会を得た。NHKは、その夜の魔法を捉えており、俺の演奏は正確さと感情に満ちていた。

セットの中の俺のソロでは、赤いESP Horizonギターのリフを止めることなく、ステージを端から端まで走り回らければならなかった。派手な演奏だったけど、たくさんの感情を込めて演奏した。最高のパフォーマンスができたと思う。間違いなくキャリアのハイライトだよ。おそらく、これまでの最高のライヴかもしれない」



■キッスの最悪のライヴ

「これまでで最悪のライヴは、北アイルランドのベルファストでのキッスのライヴだ。英国のこの地域における宗教的・政治的対立は、ブルックリン生まれのミュージシャンには容易に理解できるものではなかった。ベルファストに到着し、武装した警察官が大勢いるのを見て危険を感じたし、不安を覚えた。

俺らが演奏した会場はキングス・ホールで、過去にはビートルズやシン・リジィ、U2なども演奏した場所だった。この公演は1988年10月3日に行われたCrazy Nightsツアーの最終公演だった。

その時は理由がわからなかったんだけど、おそらくベルファストの街の不安定な情勢が原因だったんだろうけど、キングス・ホールの興奮したファンが俺たちにツバを吐きまくったんだよ! 彼らはツバを吐くのが得意で、ギターを弾く俺の指板にまで届くほどだった。

想像できると思うけど、本当に恐ろしいことだった。俺は、ツバを髪の毛や服に浴びたんだ! ジーン(シモンズ)もポール(スタンレー)も同じ目に遭ったけど、エリック・カーはドラムセットの後ろにいたので助かった。

後で聞いた話では、アイルランドの観客はバンドへの愛情を示すために、こうやってバンドをツバでびしょびしょにするのだそうです。ごめん、結構です! そのライヴが終わってアメリカに帰れて本当に嬉しかったよ」