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ロンドン住民 大音量で演奏する迷惑なストリートミュージシャンをめぐって区議会を提訴 歌が下手すぎると日中の仕事が全く進まないとも主張

2025/02/25 17:44掲載(Last Update:2025/04/02 13:29)
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United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland: UK
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英ロンドン娯楽の中心地レスタースクエアの企業や住民は、音量が大きすぎる迷惑なストリートミュージシャンを取り締まっていないとして、ウエストミンスター区の議会を相手取り提訴を起こしています。前例のないケースで、特に深夜の騒音に対する懸念に対処していないと主張しており、また、あまりにも歌が下手すぎると日中の仕事が全く進まないこともあるとも主張しています。一方、ストリートミュージシャンたちは、自分たちのパフォーマンスは都市生活の一部であると主張しています。

地元レストランのオーナーで、レスター・スクエアに25年間住んでいるファディル・マケドンシは、メトロ紙の取材に応じ、自分と子供たちにとって今の状況は耐え難いものとなっており、騒音を遮断するために窓の改修に4,000ポンドも費やしたにもかかわらず、騒音のために引っ越しを検討せざるを得なくなったと語っています。演奏をやめさせるために、午前3時にパジャマ姿で外に出たこともあったという。

「私と子供たちが眠れるよう、路上演奏の騒音を遮断しようと窓の改造に4,000ポンドを費やしたが、効果はなかった。彼らは許可されていないほどの大音量で演奏しているが、まったく気にしない。以前に“失せろと言われたことがあり、観客が敵意をむき出しにしてくることもあったよ」

2021年に導入されたルールでは、ストリートミュージシャンは許可証を得るためにライセンス料を支払い、行動規範に署名しなければなりません。この規範では、さまざまなレパートリーを用意すること、午後9時までに演奏を終了すること、指定された場所では基本的なアンプのみを使用することが定められています。

また、音量は78デシベルに抑える必要がありますが、この地域の象徴的なカジノ「ヒポドローム」のオーナーであるサイモン・トーマスはメトロ紙の取材に応じ、115デシベルに達しているのを実際に録音したと主張しています。これはロックコンサートの典型的な音量です。トーマスはウェストミンスター治安判事裁判所で行われた公聴会でも証言しており、アンプから絶え間なく響く大音量により、自分のオフィススペースでは仕事が全くできないと述べています。

ウェストミンスター治安判事裁判所はこの公聴会で、さまざまなレパートリーを用意せず、セットリストがループされ、過剰な音量で早朝まで演奏されているという証言を聞いています。

原告の中心となっているレスター・スクエアを拠点とするGlobal Radioのスタッフは、ノイズキャンセリングヘッドフォンを着用したり(それでもの演奏が聞こえる)、時には静けさを求めて戸棚の中に隠れたりして仕事をこなさなければならなかったと証言しています。またスタッフが日々直面している迷惑行為を証明するために、彼らの机で録音された音源が法廷で再生されました。

ロンドン・イブニング・スタンダード紙に取材に応じた同局スタッフは、「昨日の午後は、オフィスで、おそらく3メートルほど離れた2つのデスクの同僚と会話ができなかった。誰かが“Hallelujah”をとても大きな声で歌っていたからね」「建物の奥のトイレでもヴォーカルが聞こえる」と語っています。また同局では、暑い日にオフィスの窓を開けることをスタッフが嫌がるそうですが、その理由は「騒音よりも暑さの方が我慢できるから」だとも語っています。

同局スタッフは公聴会で、ストリートミュージシャンの音が「窓を突き抜けて聞こえてくるので、歌詞やその他の要素まですべて聞き取れる」と証言し、「仕事にならないほどの騒音に悩まされている」と訴え、別のスタッフは流される音楽の質も批判し、「演奏の質の悪さが、邪魔になることもあります」とも述べています。

ウエストミンスター区を担当する弁護士ジョナサン・マニングは裁判で、ストリートミュージシャンによる音は法律上では迷惑行為に該当せず、また地方自治体もこの問題の責任を問われるべきではないと主張しています。

ウェストミンスター区の議会の広報担当者は「議会は、市民や企業への影響を最小限に抑えつつ、これまで通りストリートパフォーマーが訪問客を楽しませ続けることができるよう、バランスを取らなければなりません。検査官と環境衛生チームは、警察と緊密に連携して騒音問題に対処しており、今後も必要に応じて機材を押収したり、個人を起訴したりしていきます」とコメントしています。