
Jesse Leach - Images: Elsie Roymans / Getty
厳格な宗教的環境でヘヴィメタルと出会った兄弟。両親が聖書に関する集会に出るたびに、こっそり手に入れたメタル・バンドのカセットテープを家で流して歌っていた。ある日、アルバムの1つ、アイアン・メイデン『The Number Of The Beast』が親に見つかってしまう。父親は兄弟の前でテープを破壊し、「悪魔の音楽は我が家では禁止だ!」と言った。しかし、それはかえってその音楽を魅力的に見せてしまっただけだった。兄弟のひとり、
ジェシー・リーチ(Jesse Leach)は、メタルコア・バンド、
キルスウィッチ・エンゲイジ(Killswitch Engage)のヴォーカリストとして活躍中。
リーチは英Metal Hammer誌の最新号で当時を振り返っています。
「ほとんどの部分では、とても幸せな子供時代を過ごしたよ。(厳格なキリスト教徒の)両親は、うちの貧困をうまく隠していた。子供時代の多くは、週に3回教会に行っていた。父は牧師になるための勉強をしていたので、俺が幼い頃は、父と母は自分たちにふさわしい精神的な家を見つけるために、さまざまな教会を訪れていたんだ」
ヘヴィメタルとの出会いについて尋ねられたリーチはこう話しています。
「兄がいくつかのテープを持って帰ってきたんだ。兄がこっそり持ち込んだ! そのうちの一本はアンスラックスの『I’m The Man』で、もう一本はアイアン・メイデンの『The Number Of The Beast』だった。俺たちは10歳か11歳で、両親は俺と兄を家に残して聖書のために集会に出かけていた。ありがたいことに、俺たちは家で宿題をするために、もう集会には行かなくてよくなったんだ。両親が外出した瞬間、カセットテープをラジカセに入れて、俺たちは歌詞を一言一句歌っていた。
それから数週間ほど経って、母が兄の部屋を掃除していた時、マットレスを持ち上げてしまった。当時、マットレスはあらゆるものを隠す場所だったから、母はそれを見つけてしまった。あの頃は「サタニック・パニック」(※80年代から90年代初頭に米国で発生した社会的現象で、サタン崇拝や儀式的虐待に関する恐怖が広がった)の時期で、俺たち兄弟は『The Number Of The Beast』を持ち込むのが(両親の信じる)世界では最悪なことだとはわかっていた。父は俺たちの目の前でそのテープを取り、地面に置いて壊してしまった。“悪魔の音楽は我が家では禁止だ!”と言っていた。でも、それはかえってその音楽を魅力的に見せてしまっただけだったんだ」