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LA山火事で8000枚以上のレコードを失ったコレクター 「僕は音楽ジャンキーだ。音楽を買うのをやめることはない」

2025/02/07 13:47掲載
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ロサンゼルスに住む45歳の起業家は熱心なレコード・コレクターで自宅には25年間にわたって収集した8,000枚以上のレコードがありました。しかし、ロサンゼルス山火事で自宅が焼失し、レコードコレクションもほぼ全て失いました。この人物、スコット・デュデルソンはロサンゼルス・タイムズ紙の取材に応じています。

デュデルソンが住んでいた家は、被害が大きかったロサンゼルス西側にある高級住宅街パシフィック・パリセーズにありました。

デュデルソンは火事が迫るなか、「賢くやればなんとかなるのではないか」と現地に留まり、対策を練っていましたが、現実に気づくのに時間はかかりませんでした。最終的に避難することを決めます。

デュデルソンは最近、パシフィック・パリセーズにある元妻の家からマリブの新しい家に自身のレコード・コレクションを移す作業をしていて、彼のコレクションを箱に入れていました。55箱の準備が出来ていたという。

2018年のウールジー山火事を経験した彼は、火災が差し迫った脅威であることを知っていたため、「僕にとって最も重要で、最も価値があり、何があってもすぐに代用できない優先すべきレコード」をまとめたいくつかの箱には、事前にラベルを貼っていたという。

幸いにも、優先すべきレコードは、1月に火災が発生した際にはラベルの貼られた箱に入ったままの状態でした。避難の時間になると、デュデルソンはそれらの箱を手に取り、元妻の助けを借りて車に積み込みました。6箱、計約450枚のレコードは救い出すことができたという。

「消防士たちがパシフィック・コースト・ハイウェイを封鎖する前に、彼女がなんとかして僕の家にたどり着いてくれた。ひどい状況だった。火はものすごい勢いで燃え広がっていた。飛行機が海から水を汲んでいるのが見えた。」

翌日、彼はニュース番組の放送で自宅が焼失していたことを知りました。

彼が救い出したレコードは、彼のお気に入りのアルバムだというニール・ヤングの『Everybody Knows This is Nowhere』と『On the Beach』のほか、13th Floor Elevators、ニック・ドレイク、エルヴィス・プレスリーのデビュー作、ビートルズ『The White Album』の未開封品、ビッグ・スターの『#1 Record』などだという。

彼は失ったレコードについては、こう話しています。

「ザ・スミスのレコードはすべて失った。スレイヤーの最も初期のシュリンク包装された『Reign in Blood』のオリジナル盤も...。すべてを失ったんだ。デヴィッド・ボウイのレコードも、フリートウッド・マックのレコードも、挙げればきりがない……全部なくなったんだ」

高価なコレクターズ・アイテムとしても知られる、ビートルズ『Yesterday and Toda』の通称「ブッチャーカバー」も失ったという。

彼を励まそうとレコード業界を含めて多くの人たちが彼に連絡をいれたという。

「最初に連絡をくれたうちの2人は、Rhino RecordsとUniversal Music Groupの友人でした。彼らは“コレクションの再構築に何かお手伝いできることがあれば言ってほしい”と言ってくれました」

またデュデルソンのSNSにはダイレクトメッセージが殺到したそうで、彼は涙を流したという。

デュデルソンは最後にこう話しています。

「以前持っていたものはもう二度と手に入らないが、それでいいと思っている。あのレコードたちとは素晴らしい思い出を作ったし、音楽について多くのことを学んだ。ライナーノーツもたくさん読んだ。

僕は音楽ジャンキーだ。音楽を買うのをやめることはないだろうし、音楽を聴くのをやめることはないだろう。一日中レコードを聴くのをやめるつもりはないよ」