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トレヴァー・ホーン、サンプリング/創作の心得/現代の音楽制作/音楽家と一緒に仕事をする上でのコツ/若手音楽プロデューサーへのアドバイスを語る

2025/01/16 14:24掲載
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Trevor Horn
Trevor Horn
プロデューサーのトレヴァー・ホーン(Trevor Horn)が「サンプリング(主にフェアライト・サンプラー)」「創作の心得」「現代の音楽制作についてどう感じているのか」「ミュージシャンと一緒に仕事をする上でのコツ」「成功を目指す音楽プロデューサーへのアドバイス」を語っています。

Spitfire Audioの新しいビデオに出演したホーンは、Spitfire Audioの共同創設者であるポール・トムソンとともに、さまざまなエピソードを語っています。

2人はまず最初にサンプリングについて語りました。ホーンは、もちろん、80年代の音楽を変えたフェアライト・サンプラーの初期の提唱者の一人でした。

「フェアライトの特徴は、録音したもののサウンドを変えることができることでした。サウンドの多くの周波数をカットする独自の方法を持っていたので、低音域をすべてカットすることなく、低音のイメージを巧みに表現できるため、ベースには特に適していました。それが当時とてもエキサイティングだった理由だと思います。サウンドをロマンチックにしていました。今ではサンプリングは信じられないほどクリアで完璧ですし、RAMも無限にあります。当時は8MBのRAMを搭載しているだけでも大したもので、何とかして容量を確保する方法を見つけなければなりませんでした。

もうひとつ素晴らしいのは、1982年当時、誰もその機能についてよく理解していなかったことです。JJ(Jeczalik、ホーンズ・フェアライトのオペレーター)はミュージシャンではないので、レジスターや道路工事のドリルなど、ありとあらゆる奇妙なものを常にサンプリングしていました。当時、それまで耳にしたことのないような音を耳にすることができたあの時代は、私にとって“黄金時代”のようなものでした。

みんなはいつも私に尋ねてきました。私が何をやっているのかを知りたがっていました。彼らは理解していなかったし、私は彼らに教えたことはありませんでした」

創作の心得についてホーンはこう話しています。

「自分自身に対して正直でなければなりません。素晴らしいと思う新しいヴァージョンの曲を2日間かけて制作しても、いざ聴いてみると、何かが違うことに気づくかもしれません。でも、その中に良いアイデアが2つくらいはあるかもしれないので、その2つのアイデアを残して、もう一度やってみます。そして、運が良ければ、最終的に何らかの形になるでしょう。

(フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの楽曲)“Welcome to the Pleasure Dome”は、本当に(SARMのエンジニアからプロデューサーへと転身した)ステファン・リプソンの功績が大きかった。ある日スタジオに行くと、彼が2台のデジタル・マルチトラックを使って作業していました。彼は“これを聴いて”と言っていました。彼は2台のマシンをオフセットして、コーラス(サビ)をそのマシンから、ヴァース(サビに入るまでの導入部分)をこのマシンから再生するようにして、ヴァースとコーラスを組み合わせていましhた。それは驚くべきことでした。

アナログでは不可能なことでした。アナログテープは伸縮性があるようなものなので、正確さに欠けますが、デジタルでは完璧でした。それによって、ビデオ編集のように加算編集ができるようになりました。“Welcome to the Pleasure Dome”は2分半から15分にまでなりましたが、少しずつ加えていったのです。デジタル作業では、どこにでも何でも移動させることができます。それは新しいことでした」

ホーンは現代の音楽制作についてどう感じているのでしょうか?

「昔はキッチンに例えると、ソースや調味料など、あらゆるものを一から作っていました。今はすべてが袋に入っている。水を入れるだけで完成するので、ほとんどのものはすでに録音されたものでできています。ただそれらを並べ替えているだけなのです」

ミュージシャンと一緒に仕事をする上でのコツは?

「ミュージシャンと仕事をする上でまず大切なのは、彼らをリラックスさせることです。彼らには、何をやっても大丈夫だと感じてもらわなければなりません。彼らを神経質にさせると、彼らは考えるのをやめてしまいます。ミュージシャンに“何をすべきか指示してくれれば、それをやるよ”と言わせたくないのです。取り組んでいる曲に夢中になってアイデアを出してほしいのです。だから、最初は少し放っておいて、少し演奏させて、リラックスできるようにしています」

ホーンのように尊敬される音楽プロデューサーになりたい人へのアドバイスは?

「私が一番アドバイスしたいのは、決してあきらめないこと、そして自分の得意分野について現実的に考えることです。これまでに出会った優秀なエンジニアの多くは、実は、自分はミュージシャンになるには向いていないかもしれないと気づいたミュージシャンでした。しかし、彼らはこの仕事が得意で、人と接するのが上手でした。ですから、自分が得意分野について現実的に考え、それをやるするようにしてほしい」