James Hetfield - Metallica
メタリカ(Metallica)の
ジェイムズ・ヘットフィールド(James Hetfield)が
トム・ウェイツ(Tom Waits)を語る。「彼は歌詞の熟練した名人であり、1つの文章で絵を描くような人だ」。ポッドキャスト「The Metallica Report」の最新エピソードの中で、歌詞を書くことについて語る中で話しています。
歌詞を書くためのアプローチについて尋ねられたヘットフィールドは、こう話しています。
「俺は文学をあまり勉強したことがない。子供の頃に読むべき本も、まったく読まなかった。でも、本を手に取ってパラパラとめくることはある。ほとんどが興味をそそられる言葉を見つけるためで、好奇心からやっている。グラフィックのバックグラウンドを持つ俺としては、言葉の見え方が、より重要だと言いたい。“Lux Æterna”なんて、いかにもクールだろう? Xが入って、AとEが一緒になっている。なんてクールなんだ。見た目がほぼすべてだ。
トム・ウェイツは、歌詞の熟練した名人であり、1つの文章で絵を描くような人だ。それは俺にとって興味深いし、そこに到達するには努力が必要だ。トムはそれを体現しているようなところがある。それは彼の語彙でもある。彼は座って、そんな風に話すことができる。俺には無理だ。
今では、情報源や辞書などへのアクセスが容易にできるので本当に素晴らしい。誰かが送ってくれた単語を見てもそれが何なのかわからないが、それを調べることができる。素晴らしいよ。
俺はクールな言葉を見るためだけに本を漁って、それを小さな山に積み上げて、どこに属しているのかを考える。つまり、乗り物や何かを作ったりするようなもので、たくさんの小さな言葉を集めているんだ。そして、それらをどう組み合わせるのか? これは一体何を意味するのか? これはテーマとして十分なのか? を考える。
グリーン・デイのようなバンドを聴いてみると、彼らは“敵を知れ”とか“敵を知っているか?”といったシンプルなことを言っている。それは、とても魅力的で素晴らしいし、心に響くが、それは文学的な天才性とは違う。“天才性”は俺が作った言葉。言いたいことを伝えるためだけに言葉を作ることもある。
俺にとって、曲に言葉を入れることは、もう一つの楽器を使うようなものなんだ。だから、'and'、'the'、'if'などが邪魔になるなら、それらを取り除けばいい。 重要なのは、意味が伝わり、そして十分に曖昧であること。俺はストーリーテラーではない。そういう人間ではないんだ。
(歌詞で自分を表現することに慣れてきたと思うかと尋ねられ)
そう思うよ。うん。1990年代後半にメタリカが『Load』と『Reload』というアルバムを作ったときは、曲数の多さにへこたれたけどね。歌詞を書かなければならない曲が45曲もあったから、その時は“ちょっと待ってくれ。45曲分の歌詞を書かなきゃいけないのか。正気じゃない”と思ったよ。45曲全部が、本当によく練られた1曲の歌詞ほど強力なわけではない。俺にとってはね。
今は、ポイントを明確に伝えることが、より快適になっている。ラーズ(ウルリッヒ)と俺が共同プロデューサーで、グレッグ・フィデルマンも共同プロデューサーだ。俺が歌詞を持っていくと、彼らはそれを読み、“ああ、そうだな、その言葉。どうかな”と言うので、俺は“まあ、歌わせてくれよ。やらさせてくれ”という感じなんだ。(メタリカの曲)”Inamorata”の歌詞には“Resentment like a cancer grows(癌のような憤りが募る)”という部分がある。彼は“ああ、癌という言葉か。いや、それはちょっとな。あまりにも...”って感じだった。俺は言った、“おいおい、マジかよ。俺は別にポリティカル・コレクトネス賞を狙っているわけじゃない。“癌”は強烈な言葉だ。嫌われる言葉だが、何かに対してその言葉を使うことで、その言葉には力強さが生まれるんだ”とね。
俺は書くべきことを書くつもりだ。君や君の意見には耳を傾ける。うまく歌えないのであれば、それは理解できるが、韻を踏むためだけに意味のない言葉を入れるつもりはない。だが、時にはそれが必要なこともある。韻を踏むことは文脈よりも重要な場合もあるが、俺は言葉には可能な限りパワフルであってほしいと思っているよ」