スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)はソロ・アルバムを12枚リリースした今、コラボレーションが続いています。
エイドリアン・ブリュー(Adrian Belew)、
トニー・レヴィン(Tony Levin)、
トゥール(Tool)の
ダニー・ケアリー(Danny Carey)と組んだ、1980年代の
キング・クリムゾン(King Crimson)を演奏する新しいバンド、
BEAT。そして、旧友
ジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)と新バンド、
SATCHVAI BANDを組み、レコーディングを行い、今年中にツアーに出る予定です。
こうしたコラボレーションについて、米Guitar Worldの新しいインタビューの中で、こう話しています。
「純粋な音楽作品を作ることが常に僕の目標だったので、僕はいつも単独で活動してきた。それが一番好きなんだ。
でも、おそらくそれは、僕が目指すようなクリエイティブな方法で活動する人と組んだことがなかったからかもしれない。ジョーとの仕事は、新しい章の始まり、あるいは新しい目覚めのようなものなんだ。他のクリエイティブな人たちと一緒に演奏することはとても重要。彼らのスタイルやアプローチに関わらず、オープンな心を持つことが必要なんだ。
こういうコラボレーションは、教育を受ける機会であり、自分のレベルを向上させるチャンスなんだ。もちろん僕は、エイドリアンのような演奏をするつもりはないけれど、まったく異なるアプローチで楽器に取り組む他のプレイヤーの演奏を目の当たりにすることは興味深いものだよ。インスピレーションを与えてくれる。
僕が強く勧めたいのは、できるだけ多くの異なるプレイヤーと共演すること。彼らと競い合うのではなく、彼らから学ぼう。彼らがやっていることが自分の音楽にどう生かせるかを学ぼう。それはとても役に立つものだよ。
ライヴは現実を教えてくれる。レベルを上げてくれるんだ。家で座って練習したり作曲や録音をしている時とは、まったく異なる経験になる。ステージに立って人々のために演奏していると、異なる脳と指の筋肉が鍛えられるんだ。BEATは僕を自分の快適ゾーンから引き出して、ギターの難しい状況に身を置かせてくれた」
BEATは2024年12月下旬にツアーを一旦終え、さらに追加の公演が予定されています。当然、新たな音楽のリリースも期待されるところですが、こう話しています。
「それは何とも言えない。みんなスケジュールが詰まっているからね。僕のスケジュールと、ダニーのトゥールのスケジュールを調整しないといけない。でも、音楽をリリースする可能性はあると思うよ。
(どんなサウンドになると思いますか?)
それは難しい質問だ!BEATはキング・クリムゾンと関連しているので、新しいものも良いものになるだろう。もしそんなものができたら、それは今僕らが演奏している音楽のように時代を超越したものでなければならないだろね。
(BEATの経験について、全体的な感想は?)
期待以上だった。今までで一番好きなツアーのひとつだと言える。本当に素晴らしかった。バンドと観客には感謝の気持ちでいっぱいだよ。人生は経験を積むことだと言うけど、今回のツアーは本当に素晴らしい経験だったよ」
またヴァイは、BEATでエイドリアン・ブリューと共演してどう思ったか?と尋ねられて、こう話しています。
「彼は次元の違うミュージシャンだ。彼は自分の弦楽器で自分自身を表現している。彼はフランク・ザッパの下で働いていた男だ。フランクは彼に“何があっても、楽譜の読み方を習うな”と言った。エイドリアンのアプローチはすべて独創的。彼は本当に奇跡のような存在だ。
僕がこれまで聴いた中で、彼と同じことをした人は誰もいない。彼はギターへのアプローチや音の表現方法がまったく違う。まるで科学者のようなんだ。毎晩彼を見ているけど、僕とはまったく違う。僕たちは本当にまったく異なるタイプのプレイヤーだけど、ツアーで一緒になってお互いを知るようになってからは、僕たちのキャリアは切っても切り離せないほど密接なものになった。
“ユニーク”という言葉は使い古されているけど、彼は本当にユニークなギタリスト。彼のメロディや歌詞は最高。彼がバンドにもたらした曲は、美しいメロディやヴォーカル・ラインが数多く含まれているけど、それらを抜きにしても、まるで数学的な構成のように魅力的な曲ばかりなんだ。
(あなたとエイドリアンは、フランク・ザッパと仕事をしたことで、その性質を受け継いだと考えていますか?)
そうだね、フランクはそれを活用していた。フランクはバンドに迎え入れるミュージシャンの中に、ある種の資質を見抜く能力があった。フランクが雇った人たちは、彼にふさわしい何か、何か特別な才能を持っていた。フランクはその才能を引き出し、潜在能力を発揮する場を与えてくれたんだ。
エイドリアンを選んで、僕を選んでくれたのは、フランクにとって有益なものがあったから。そして今、彼がエイドリアンを選んだ理由が分かった。フランクと一緒にいた時にもそれを見ていたけど、彼を知った今、フランクがエイドリアンに何を見出したのかが分かる。僕たちは2人とも、不条理に対して似たような親和性を持っているんだ」