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音楽含む芸術や文化活動への参加は、うつ病や痛みの軽減、生活の質の向上につながり経済的利益をもたらす 英国政府の調査結果

2024/12/18 13:19掲載
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Photograph: Hill Street Studios/Getty Images/Blend Images
Photograph: Hill Street Studios/Getty Images/Blend Images
音楽を含む芸術イベントに行ったり、文化活動に参加したりすることは、たとえ数ヶ月に一度のようにごくたまにであっても、痛みや虚弱、うつ病、薬物依存の軽減など、さまざまな有意な利益をもたらすことが、英国政府が委託した調査で明らかになりました。芸術や文化を享受することは、健康と幸福に良い影響を与え、人々の生活の質を向上させ、生産性を高め、経済的利益をもたらすという。英ガーディアン紙が特集しています。

この研究は、英国政府の文化・メディア・スポーツ省(DCMS)の委託により、フロンティア・エコノミクスとロンドン大学ユニバーシティ・カレッジを拠点とする世界保健機関のWHO Collaborating Centre for Arts and Healthとの共同で行われました。

この研究の共著者であるフロンティアのマシュー・ベルはこう述べています。

「演劇、ミュージカル、バレエなどのパフォーマンス・アートへの参加、特に音楽への参加は、うつ病や痛みの軽減、生活の質の向上につながります」

WHOセンターのディレクターであり、この研究の共同著者でもあるデイジー・ファンクート教授は、こう述べています。

「芸術活動は、健康に多様かつ具体的な効果をもたらすことが示されました。

その効果とは、認知能力の発達を支援し、認知能力の低下を防ぐことから、精神疾患の症状を軽減すること、さらに幸福度を高め、薬物療法によって活性化されるのと同じ神経学的および生理学的経路を介して、孤独感を軽減し、身体的機能の維持、虚弱および加齢による身体機能の低下の軽減につながる痛みの軽減やストレスの軽減まで多岐にわたります。

芸術活動への参加は、身体を動かしたり社会と関わったりするなど、個人がより積極的に自分の健康を管理することを支援することになり、入院や介護施設への入居の必要性を減らすなど、医療サービスへの不必要な負担を軽減するのに役立ちます」

この報告書では、芸術活動に参加したり関わったりすることで、健康状態や幸福度が改善した13の異なるグループの人々(若者から高齢者まで)が挙げられています。例えば、「木曜は美術館へ」という取り組みで、地元の美術館で3か月間、毎週デッサン教室に参加した65歳以上の高齢者は、かかりつけ医の診察を受ける回数が減り、生活に対する満足感が高まったことで、平均1,310ポンド(約25万円)の経済的利益を得ました。

同様に、18歳から28歳までの3,333人の若者を対象とした調査では、芸術、音楽、演劇などの組織的な活動に参加している人々は、より幸せを感じ、その結果として人生により意味と価値を見出していることがわかりました。

フロンティアのマシュー・ベルは、文化を享受し、絵画などの創造的な活動に参加することは、個人に年間平均1,000ポンドの価値をもたらしているとも述べています。またフロンティアは、芸術や文化を享受することで健康と幸福に良い影響を与え、人々の生活の質が向上することで英国に80億ポンド(約1兆5000億円)の経済的利益をもたらすと算出しています。